会社員時代は経理がやってくれていた税金の計算・支払いについて、定年後は「自己責任」で処理しなければなりません。そこで、定年後に必要な税金の支払いについて、『定年までに知らないとヤバイお金の話【最新版】』(彩図社)より詳しく見ていきましょう。著者でファイナンシャルプランナーの岡崎充輝氏が解説します。
勤続30年のサラリーマン「退職金2,000万円」にかかる税金はいくら?定年後“忘れた頃に届く請求”に大慌て【FPが解説】
退職の翌年に支払う“なんだかいい気がしない”税金
税金といっても、そんなにビックリすることはありません。払う金額が先ほどの計算から増えるわけではありませんから。
では、なにが問題なのかといえば、それは、支払いのタイミングです。
そもそも住民税と所得税は、支払うタイミングが異なります。
所得税は、1年間にかかる税金を予測して毎月仮払いをしていき、年末にその年に納める税金を計算し直して、仮払いとの差額を調整する仕組みになっています。
つまり、その年の所得税は、その年のうちに支払うのです。
しかし、住民税は、その年の収入によって翌年の金額が決定します。ですから簡単に言えば、今年支払った住民税は、前年の収入にかかった税金となるわけです。
通常、現役サラリーマンの場合は、住民税も給料から天引きされていることがほとんどです。今払っている税金が今年のものなのか、前年のものなのか気にすることもなかったでしょうし、気にする必要もありませんでした。
しかし、ここで大きな問題なのは、住民税が前の年の収入に応じて翌年請求されるということは、退職後の住民税は、皆さんが直接支払う必要があるということです。
人間って不思議ですよね。
最初から差し引かれていれば、そんなに気にしないのですが、一旦ふところに入ったお金から「税金を払ってくれ」と後から請求されると、なんだかいい気がしません。はじめから予定しておけばいいのですが、翌年忘れた頃に税金の請求が来ると慌ててしまうものです。
しかも今度は、会社を退職しているわけですから、給料から差し引かれるのではなく、直接皆さんのところに納税の通知書が来るため、特に驚かれることが多いわけです。
岡崎 充輝
株式会社ヘルプライフオカヤ
代表取締役/ファイナンシャルプランナー