退職金にかかる税金…控除額は「勤続年数」で変わる

退職金にも所得税住民税という税金がかかります。

しかし、退職金の税金の計算は、お給料の税金とは少し計算方法が違います。というより、お給料とは別に計算することになるのです。

せっかくコツコツ働いてきて、やっと退職して退職金を楽しみにしていたら、たっぷり税金が……なんてならないように、あまり高額な税金がかからない特別な方法をとっているのです。

その特別な方法というのは、「退職金所得控除」と、「2分の1課税」です。

税金というのは、言葉が難しくていけません。

ここで出てくる「退職所得控除」というのは、退職金に税金がかかりすぎないように、計算から差し引ける金額をいいます。

しかし、誰でも同じ金額が差し引けるのではなく、勤続年数の長さによって金額は変わってきます

出典:『定年までに知らないとヤバイお金の話【最新版】』(彩図社)より抜粋
[図表1]退職金にかかる税金 出典:『定年までに知らないとヤバイお金の話【最新版】』(彩図社)より抜粋

退職金にかかる税金の計算は、上の図のようになっています。

こういう場合は具体的な例があった方がいいですよね。それでは、勤続30年で退職した場合を見ていきましょう(退職金は2,000万円)。

出典:『定年までに知らないとヤバイお金の話【最新版】』(彩図社)より抜粋
[図表2]退職金の税金の計算例 出典:『定年までに知らないとヤバイお金の話【最新版】』(彩図社)より抜粋

そうすると上の図のようになるので、このケースでは、1,500万円までの退職金には税金がかからないということになります。

それでは、所得税から計算していきましょう。

まずは、上の計算で出た250万円にかかる税率がどのくらいかを見てみます。

そうすると、税率は10%ですね。

ですから、次のようになります。

250万円×10%―9万7,500円=15万2,500円

つまり、この場合の所得税は15万2,500円です。

続いて住民税です。

住民税は一律税率が10%ですから、

250万円×10%=25万円

となります。

所得税と住民税で、合計40万2,500円の税金を支払うことになるのです。

しかし、ここで気をつけなければならないポイントがあります。

退職金の税金において、「退職所得の受給に関する申告書」が提出されていない場合、退職所得控除が受けられず、税金が高額となってしまいます。

通常は、退職金を支給する会社側で、この「退職所得の受給に関する申告書」についての説明があると思いますが、万が一、話や説明がない場合には確認をとるようにしましょう。

出典:『定年までに知らないとヤバイお金の話【最新版】』(彩図社)より抜粋
[図表3]退職所得金額と控除額 出典:『定年までに知らないとヤバイお金の話【最新版】』(彩図社)より抜粋