歯を失った場合の3大治療にあげられる「入れ歯」「ブリッジ」「インプラント」。保険診療ではなく、自由診療を選ぶと治療費が嵩みますが、よりよい治療を受けられると多くの方が思われているかもしれません。しかし、自由診療にも意外な懸念点があって……。本記事では医療法人社団アスクラピア統括院長の永田浩司氏が、歯の3大治療法における保険診療と自由診療のそれぞれのメリット・デメリットを解説します。
60代で28本の永久歯のうち“平均4.2本”を失う…歯の3大治療法「入れ歯」「ブリッジ」「インプラント」の自由診療、〈治療費が高い〉以外の意外なデメリットとは【歯科医師が解説】
ブリッジ…「保険診療」と「自由診療」との違い
ブリッジは部分入れ歯のように取り外しが必要なく、噛む力ももとの歯の70%程度まで回復できます。さらに保険診療で1本1万5,000円〜3万円程度と経済的な負担が少ないことなどがメリットです。一方、両隣の歯を削らなければいけないことは非常に大きなデメリットといえます。
保険診療では金銀パラジウム合金とよばれる材料を使用しますが、前歯が銀歯だと審美性が低いため、保険診療でも前歯から数えて3本目までの歯にはレジンという白色の素材を使用できることになっています。
このように治療する歯の位置によって制約があることから、審美性が高く、汚れがつきにくく、割れにくいジルコニアが2000年ごろから自由診療で使われるようになりました。ジルコニアはセラミックの仲間で材料費は安価ですが、加工できる技工所が少ないため、高価になってしまっている現状があります。
ジルコニア使用ゆえの自由診療における懸念点
ただ、先述したようにブリッジは両隣の歯を削る必要がありますが、保険診療で金属使用の場合は0.5ミリなのに対して、自由診療でジルコニア使用の場合は1.5ミリ削る必要があります。歯が見えている部分を1cmとしたら、全体の15%も削らなければいけない点を考えると、ジルコニアを選択することが常に第一選択とは限らないというのが筆者の考えです。