60代、唾液の減少によって起こるさまざまな弊害

60代で虫歯が増えるワケ

60代の患者さんのなかには、虫歯の治療をしたにもかかわらず、次の定期検診でもう新しい虫歯ができているという方がいます。このように年齢を重ねてから虫歯のリスクが高くなる原因の1つが、加齢によって唾液が減少することです。

実際、入れ歯などを使用している高齢者の方であっても、唾液量が多い方は口の中がきれいな傾向があります。一方、唾液量が少ない方は虫歯だけでなく、汚れの溜まり具合などに差があり、唾液の力を感じます。

唾液は主に耳下腺、顎下腺、舌下腺の3つの唾液腺から分泌され、その量は安静時に毎分0.3〜0.4ml、食事などの刺激時には毎分1〜2mlです。しかし、加齢によって唾液腺が萎縮することで分泌量は減少していきます。唾液腺の萎縮は自己免疫疾患のシェーグレーンシンドローム(SJS)、更年期障害の症状として起こることもあります。また、閉経後にも多く見られるため、特に60代の女性の患者さんは口の中が乾燥していることが非常に多いです。