オーラルフレイルを放置すると全身の機能低下に

60代の方がこれまでに歯医者さんを受診してきた目的は、虫歯や歯周病の治療、失った歯を入れ歯などで人工的に補うための補綴(ほてつ)治療などがメインだったと思います。

これは主に食べ物を噛む機能のための治療ですが、ほかにも年齢を重ねていくなかで衰えていく機能があります。それが飲み込む機能で、実はこの機能を診ることも歯科医の大切な仕事です。

噛む機能、飲み込む機能が衰え始めると、食べるときにむせる、こぼす、食べるのに時間がかかる、固いものを食べるのが億劫になる、滑舌が悪いなどの症状があらわれます。このように口から食べる機能が衰えることを「オーラルフレイル」とよびます。

オーラルとは「口腔の」、フレイルは「虚弱」で、口腔機能の衰えを意味します。オーラルフレイルは健康と機能障害の中間の段階であり、適切な対応を行えば改善が可能です。

しかし、対応を行わないまま放置したことで、噛めなくなってしまい、やわらかいものを食べるようになる。すると、噛む力がさらに低下するという悪循環が起こります。それによって栄養バランスの偏りや食欲不振を引き起こし、低栄養、さらには全身の機能低下へとつながってしまうのです。

オーラルフレイルのセルフチェックでは、

・固いものが食べにくい

・お茶や汁物等でむせる

・口の渇きが気になる

・普段の会話で言葉をはっきり発音できない

・自分の歯が20本未満である

上記5項目のうち、2つにあてはまると、オーラルフレイルに該当します。