大黒柱を失った家族に対する公的保障である「遺族年金」。子の要件がない遺族厚生年金は、受給権が失権しないかぎり、生涯払われ続ける可能性があります。しかし65歳を迎えて思わぬ事態に直面する場合も。みていきましょう。
「子のない夫婦」を襲う衝撃…手取り月15万円の43歳・非正規妻「これでは生きていけない…」と将来を悲観する「唖然の遺族年金額」

あえて「子をもたない」選択をする夫婦

結婚したら、少し新婚さん気分を味わった後、子供が生まれて、幸せな家族が……ひと昔前は、それが多くの人が歩む既定路線でしたが、いまや、そうではありません。そもそも結婚を望まないという人もいますし、結婚をしても子がいない夫婦も多いもの。

 

国立社会保障・人口問題研究所『第16回出生動向基本調査』(2021年)によると、妻45~49歳夫婦の子どもの数は、「2人」が最も多く52.8%、「1人」が19.4%、「3人」が16.0%、そして「0人」が9.9%。40代後半以降に出産、というケースはかなりの少数派でしょうから、おおよそ夫婦の10組に1組は「子のない夫婦」だといえるでしょう。

 

もちろんこのなかには、望んでいたけれど子宝に恵まれなかった夫婦もいますが、あえて子をもたないという選択をした夫婦もいます。同調査で、「理想は子ども1人だが実際は0人」という夫婦に、理想の子ども数を持たない理由を聞くと、「ほしいけどできない」に続き、「高年齢で生むのはいやだから」「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」「夫が望まないから」と続きました。「子のない」理由も、夫婦によってさまざまです。

 

今年の春、43歳になったという女性も「子のない夫婦」のひとり。同い年の夫は子どもに対する価値観は一緒だったため、結婚に至ったのだとか。それが結婚してもあえて子をもたない、という価値観。

 

結婚後も変わらない関係が継続……ただ唯一変わったことといえば女性の働き方。結婚前は正社員として働いていましたが、32歳で結婚してからは、非正規社員として働いています。仕事で忙しい夫を支えるために、ある程度、自由のきく働き方ができるよう転職をしたといいます。

 

総務省『労働力調査 2023年(令和5年)平均結果』によると、2023年、雇用者は6,076万人で、そのうち正社員は3,615万人、非正規社員は2,124万人。なぜ非正規社員でいるのか、最も多い理由が「自分の都合のよい時間で働きたいから」で34.7%。「家計の補助・学費等を得たいから」18.3%、「家事・育児・介護等と両立しやすいから」11.2%。「正社員の仕事がないから」9.6%と続きます。

 

子どもがいないから、ふたりの収入はすべてふたりのもの。ふたりとも正社員で必死に働かなくても、余裕のある暮らしができる……女性が正社員→非正規へと転職したのも頷けます。