大黒柱を失った家族に対する公的保障である「遺族年金」。子の要件がない遺族厚生年金は、受給権が失権しないかぎり、生涯払われ続ける可能性があります。しかし65歳を迎えて思わぬ事態に直面する場合も。みていきましょう。
48歳〈月収40万円〉の夫が突然死…妻、仕事復帰し子育て無事終了も、65歳で〈遺族年金・大幅減〉に愕然「死ぬまで働くしか」

48歳夫が突然死…3人の子をもつ妻が手にする「遺族年金額」

――長かったような、短かったような

 

そう投稿した60歳女性。3人目の子供が大学を卒業し、長男が生まれてから32年に及ぶ子育てにようやくピリオドを打ちました。子育てを振り返り、一抹の寂しさがあると続けます。

 

本来であれば、

 

――子育てもひと段落したし、今後は、夫婦水入らず、ゆっくり暮らそう

 

そう語り合う夫婦の姿があるのかもしれませんが、女性にはそのようなパートナーの存在はいまはなく。45歳のときに、3つ上の夫が突然死。当時、末っ子はまだ小学生で、まだ何かと手がかかる時期。そんなタイミングでの突然の悲劇に、悲しむよりもパニックだったと振り返ります。

 

――夫の死を悲しむよりも、明日、どうやって生きていけばいいのか……頭が真っ白になった

 

2人目の子供を出産したのを機に、会社を辞めたという女性。生活のためには働きにでなければなりませんが、キャリアの中断期間は10年近くにもなり、いきなり、思うような仕事に就けるイメージがわかなかったといいます。

 

ただ「遺族年金とか、色々足していったら、結構な金額になって助かった」と女性。余裕をもって仕事を探し、社会復帰を果たせたと振り返ります。

 

遺族年金には、国民年金に紐づく国民基礎年金と、厚生年金に紐づく遺族厚生年金があります。子育て世帯であれば、自営業の夫を亡くせば国民基礎年金、会社員や公務員の夫を亡くせば、さらに遺族厚生年金が上乗せされる可能性があります。

 

亡くなった女性の夫が20歳から亡くなる48歳まで、平均的な給与を手にしてきたサラリーマンだったら、と仮定して、どれほどの金額を手にできたか考えてみましょう。

 

まず遺族基礎年金。受給額は81万6,000円をベースに、子供が1~2人目までは、各23万4,800円、3人目以降は各7万8,300円が加算されます。女性の場合、136万3,900円がもらえる計算です。

 

次に遺族厚生年金。亡くなった当時、夫は月収40.6万円、年収で670.9万円を手にするようなサラリーマンだったと仮定します。支給される遺族厚生年金は、死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3。単純計算62万9,000円で、遺族基礎年金と合わせると199万2,900円。およそ200万円、1ヵ月16万6,000円ほどの遺族年金が手にできた可能性があります。

 

遺族年金に加え、「児童手当」などの公的なサポートも加えると、月20万円ほど手にできるでしょう。これらは基本的に非課税なので、ライフスタイルにもよりますが、当面の生活費は確保。夫を亡くして涙が乾かぬうちに、働きに出て……という事態は避けられそうです。