「定年退職して時間ができたけれど、何をしていいかわからない」 「趣味を探せっていうけれど、どうすればいいの?」 「急に第二の人生って急に言われても戸惑う……」 そんなふうに感じている人も少なくないのでは? そんな悩める大人たちにぴったりの映画『ラストターン 福山健二71歳、二度目の青春』(久万真路監督)が5月10日(金)に公開されます。まったく泳げなかったけれど、友人の誘いで水泳教室に通い始めて大きな一歩を踏み出す主人公・健二を好演している岩城滉一さんにお話を伺いました。
「やりたい!」と思ったらもう体が動いてる
――定年退職し、認知症だった愛妻を看取り、自身も物忘れなど体の衰えを感じてきた健二は水泳教室に通い始めます。全く泳げない健二にとっては勇気ある第一歩ですが、岩城さん自身もそんな経験はありますか?
岩城滉一さん(以下、岩城):一歩を踏み出せば新しいことが身に付いたり見たことのない世界を見られるんですよね。僕はアメリカに行って飛行機の免許を取ったんですけれど、飛行機をひっくり返して後ろ向きに見たら地球ってどんなふうに見えるのかな? って思ったんです。そんなのなかなか味わえないですよね? 僕はアクロバット飛行をやりたかったんだけれど、「重力ってこんなふうにかかるんだな」とか体験してわかったことがたくさんあった。
新しいことに挑戦するってそういうことだと思うんです。別に大きくなくても派手でなくてもよくて、どんなことでもいいんだけれど。体験や経験がどんなふうに自分に入ってくるのかっていうのはやってみないとわからないことだから……。だから楽しいんだよ。
――「一歩踏み出すのが怖い」「今さら挑戦なんて遅いのでは?」と躊躇している人もいると思うのですが、岩城さんからアドバイスはありますか?
岩城:それはね、言葉とかアドバイスじゃないと思うんだよね。その人が本当にやりたいかどうかの問題で……。一歩踏み出さない人って本当はやりたくないんだよ。僕は何かをやりたいって思ったら、次の日には詳しい人とか知人に電話してやっちゃってます。
「やりたい」ことをやるために岩城滉一が人生から”除外”したこと
――副題に「二度目の青春」とありますが、岩城さんはこの先、どんなふうに生きていこうと思っていますか?
岩城:「これやりたい!」ってなったら、「危ない」とか「辛い」とか「悲しい」とか、そういうことは一切、除外だね。まあ具合が悪くなって死んじゃうかもしれないけれど、それはそれで自分の人生なんだって。「自分の人生をまっとうしたな」って思えればそれでオッケーだと思います。だから、話が戻ってしまうけれど、やりたいことがあったらやらないともったいないなって僕は思う。
――これは年齢や世代関わらずだと思うのですが、そもそも「やりたいことがわからない」っていう声も聞きます。
岩城:もしかしたら、今まで一生懸命働いてきて自分の中でやりたいことについて、あまり考えられなかったのかもね。一生懸命生きてきたんだよね、きっと。でも、今は昔と違って退職してからの人生も長いから……。そういうのを考えると、「あ、これやっててよかったな」って思えるものが1日でも早く見つかるといいよね。