「まずは興味を持ってみる」から始める

――好きなことややりたいことを見つけるためのヒントってありますか?

岩城興味を持つってことじゃないの? 僕はさ、例えばテレビでレースをやっているのを見て、「これ速いな、何百キロ出てるんだろう?」「何百キロも出るのってどんな体感なんだろ?」「周りの人にはどんなふうに見えているんだろう?」って、疑問が次から次へとわいてくる。そういうところから入るって結構あるんじゃないかな。

「興味を持つ」ってことにつきると思うよ。「大谷翔平はすごいけれど、野球ってそんなに魅力があるものなのかな?」と思ってキャッチボールからやってみるとか。

――日常の何気ないところに興味のタネって広がっているんですね。

岩城僕らの時代には、親から「三日坊主はダメだぞ」とよく言われたんです。「柔道をやりたい」「空手をやりたい」と言ったら、「ああ、いいよ。でも三日坊主はダメだぞ」って口酸っぱく言われた。

でも、自分も親になって、子どもが「ピアノを弾きたい」って言ったときに「ああ、いいよ」と言ったんです。「弾かなくなったらどうするの? ピアノがもったいないじゃない」って周りが言ったときに「いいじゃない、それで自分の道がわかるんだから。お金はかかるけど、また働けばいいんだから」って言ったことがあるんですよ。

本を読むのでも絵を描くのでもいいけれど、やってみれば自分が好きかどうか、合っているか合ってないかがわかるじゃない。だから、まずは三日坊主を恐れないで一歩踏み出してほしいなって思いますね。

やっぱり難しく考えちゃダメだよ。いざやってみたら「え? こんなもんなの? 意外といけるじゃん」ってこともあるんだから。自分の中の可能性を少しでも生かさなかったらもったいないし、面白くない。だからまずは一歩踏み出してやってみれば? と思いますね。

「まずは興味を持ってみる」から始める
(C)2023『ラストターン』製作委員会
<プロフィール>
岩城滉一(いわき・こういち)
1951年生まれ。1975 年に俳優デビュー。以後数多くのドラマ・映画・CM・歌などで活躍。特に『北の国から』の北村草太役は、広く知られる。
俳優以外にも、バイク・車・飛行機・スノーボード・ゴルフ・射撃など、多彩な趣味を持ち、今年は5年ぶりに、自らライダーとしてレース参戦を予定している。
■映画『ラストターン 福山健二71歳、二度目の青春』ストーリー

定年退職し、認知症だった愛妻(も看取り、ひとり静かに暮らす福山健二。最近物忘れに不安を覚えめた健二は、残りの人生を、息子家族にも誰にも迷惑かけずに過ごすため、健康維持を意識する。その一つとして、市のコミュニティクラブに参加した健二は、同年代の橋本と出会い、さまざまな場所に出かけ、友好を深めていく。ある日、橋本は水泳教室に健二を誘う。全く泳げない健二は躊躇するのだが、橋本の「出来ない事を出来るようになるのは愉快じゃないですか?」という言葉に後押しされ、参加を決める。その教室には、夢破れ、若くして「残りの日々」を過ごす、香里がコーチとして勤めていた。水泳を大切な「挑戦」であり「目標」だと考えはじめた健二に、次第に変化が訪れーー。