8年ぶり新作は故・黒澤満さんからの“宿題”

――前作の『さらば あぶない刑事』依頼、8年ぶりの新作ですが、今回の企画の経緯からお聞かせください。

近藤正岳プロデューサー(以下、近藤):前作の『さらば あぶない刑事』が思いのほかヒットしまして、プロデューサーの常としては「じゃあ次回も」ということを考えるわけですよね。

「セントラル・アーツ」(『あぶない刑事』の製作会社)社長の故・黒澤満(くろさわ・みつる)さん、僕らは「マンさん」って呼んでいるんですが、マンさんと「またやろう。タカとユージは定年退職してニュージーランドで探偵をやっているけど、あの2人のことだから、向こうでもひと悶着起こして出禁になって帰ってくるっていうストーリーがもう見えているね」と話していたんです。

セントラル・アーツは(松田)優作さんの『探偵物語』もあるし、『プロハンター』『勝手にしやがれヘイ!ブラザー』とか探偵ものを多く作っていて探偵ものが得意。それで今回も最初は探偵っていう設定なんです。

黒澤さんは「透(仲村トオルさん)も辞めちゃう設定で3人で探偵やるのもいいんじゃない?」 ってチラッと話していたんですが……(2018年に)黒澤さんが亡くなってしまって、『あぶ刑事』にとっても僕にとっても大きな存在が失われてしまった……。でも、黒澤さんの言葉が “宿題”として残っていたんです。だから今回の映画は黒澤さんからの“宿題”を果たそうという気持ちでした。

もちろん、企画を通すために「まだまだ人気があります」とか後付けでいろいろ言うのだけれど、黒澤さんからの“宿題”という、個人的な思い入れが強かったと思います。もちろんそれに舘さんや柴田さんが応えてくれたことも大きいです。

――舘さんや柴田さんとは議論というか、どんな作品にするかなどお話もかなりされたのでしょうか?

近藤:今回は、土屋太鳳さん演じる、2人の「娘かもね」という女性が依頼人としてやってくるというアイデアがあったので、そのアイデアに2人とも乗ってくれてそこから話が展開していきました。

――スタッフさんたちは結構若い世代が入ってらっしゃると伺いました。

近藤:原廣利監督はテレビシリーズでデビューした原(隆仁)監督の息子さんです。お父さんの造られた世界観を感覚的に理解しているのではと思い、抜擢しました。

お話を伺った近藤正岳プロデューサー
お話を伺った近藤正岳プロデューサー