日本の公的年金制度。細かな決まりごとが多く、知っていると知らないでは、大きな差となることも珍しくはありません。今回は「年金を受け取っている人が亡くなった際の手続き」についてみていきます。
80歳「年金月15万円」の母が死去…預金通帳に「過払い年金30万円」→「こっそり、もらっちゃおう!」の先に待つ、当然の報い

5月末、母が亡くなった…翌15日、母の通帳に年金が振り込まれてしまった

たとえば、

 

5月31日、80歳の母が亡くなりました……

 

そんな場合。年金を受け取る権利(受給権)は亡くなった日に喪失し、亡くなってから14日以内に「年金受給権者死亡届(報告書)」を提出しなければなりません。しかしタイミング的に、母の死後に「年金振込通知書」は届き、さらに、6月15日には、亡くなった母の貯金通帳には年金が振り込まれることでしょう。

 

――2ヵ月分の年金、30万円が振り込まれちゃった!

 

どうしよう、どうしようと、右往左往してしまうかもしれません。そもそも年金は原則、2か月に1回、偶数月の15日に振り込まれます。

 

「12月と1月分」は「2月15日」に振り込まれます

「2月と3月分」は「4月15日」に振り込まれます

「4月と5月分」は「6月15日」に振り込まれます

「6月と7月分」は「8月15日」に振り込まれます

「8月と9月分」は「10月15日」に振り込まれます

「10月と11月分」は「12月15日」に振り込まれます

 

そして受給権を失った場合、その日を含む月の年金を受け取ることができます。だから、亡くなった母の預金通帳に振り込まれた30万円は、三親等内の親族のうち、「死亡当時生計を同じくしている者」が受け取ることができます。ただし、未支給年金の請求手続きが必要です。

 

また何かの手違いや「年金受給権者死亡届(報告書)」を提出しなかったことで、本来、もらえるはずのない年金が振り込まれることも。6月に続き、8月にももらえるはずのない年金30万円の振込みが……

 

――1度受け取った年金だし、もらっちゃおう!

 

と、ネコババしてしまうケースも珍しくないといいますが、絶対NG。本来受け取れない過払いの年金を受け取った場合、不正受給により「3年以下の懲役又は100万以下の罰金」、無届等で「30万以下の罰金」など、ペナルティが科せられます。

 

――そんなつもりはなかったのよー

 

と叫んだところで後の祭りです。

 

[参考資料]

日本年金機構『年金振込通知書』

日本年金機構『年金を受けている方が亡くなったとき』