新興国債券、ファンドラップ…ほかにもあるハイリスクな金融商品

このようなハイリスク・ハイリターンの金融商品は、仕組債や劣後債だけではありません。ブラジル・レアル、トルコ・リラ、南アフリカ・ランドなどの新興国通貨建ての債券も同様です。こちらもまた、利率が年8%などと高く、「為替相場が多少円高に振れても、利率が高いため挽回しやすい」などと説明された高齢者は購入してしまいがちです。

本来なら、ブラジル、トルコ、南アフリカなどの企業は信用リスクが高いことから、そのような債券を積極的に買おうとは思いません。しかし、債券を発行するのは欧米の大手銀行です。販売元の企業の信用力が高いばかりに「安心感のある商品」だと感じてしまうのです。

しかし、発行される通貨は新興国通貨であり、戦争や政治不安、財政悪化等から大きく下落することもあり、そうなれば円建てでの金額が下がって、想定を超える損失を被るリスクがあるのです。

ほかにも注意が必要な商品として「ファンドラップ」が挙げられます。

ファンドラップとは、投資信託を集めてパッケージにした商品で「お忙しい方や、ご自身で売買タイミングを判断するのが面倒な方のために、運用のプロがその人にあわせた運用を行います」という営業トークのもとに販売されます。

しかし実際には、毎年1.5%の基本手数料だけでなく、ファンドの信託報酬も1%以上取られるなど、残高の2.5%以上の金額が運用資産から差し引かれるボッタクリ商品です。もし1,000万円を預けたら、毎年25万円も取られてしまうことになります。これでは2.5%の利回りが出ても、2.5%の手数料をとられて儲けはゼロです。

このように、金融機関の窓口では、ハイリスクな商品や、手数料や信託報酬が高い商品が販売されています。気をつけないと、痛い目を見る可能性があるということを、よく覚えておきましょう。

岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)

★高利回りの金融商品についてはチェック!
「営業トークの裏」ファンドラップ、仕組債・劣後債、新興国債券など高利回り金融商品の真実を専門家が解説

★地方銀行が販売する仕組債の問題点についてはこちらをチェック!
【仕組債】業務改善命令を受けた千葉銀行が売った元本割れ金融商品とは?適合性原則に違反する実態を暴露!