定年後の生活を考えるようになってから、多くの人にとっての重要な関心ごとの1つが健康ではないでしょうか。よりよい生活を過ごすためになによりも大切なのが健康の維持・向上です。厚生労働省(※1)によると、健康寿命と平均寿命の差は2019年時点において、男性は8.73年、女性は12.07年です。データだけを見ると、あまり自分事と感じることはできないかもしれませんが、この年数を健康に過ごせるか、否かは、人生の充実度合いも変わってくるかもしれません。本稿では日本総合研究所創発戦略センタースペシャリストの小島明子氏が、定年の準備に向けた健康について解説していきます。
先進国で最も眠らない日本人
OECD※4によれば、日本は諸外国と比べて男女ともに最も睡眠時間が短いことが明らかになっています。諸外国の睡眠時間の平均が男性8.42時間、女性8.50時間であるのに比べて、日本人の男性は7.47時間、女性は7.25時間です。諸外国に比べて、男女ともに睡眠時間の平均が少ないことがわかります。
一方、前述の日本総合研究所の調査によれば、社長、重役、役員、理事など経営幹部においては、「睡眠が取れている」という回答がほかの職位に比べて4割程度、高いことが明らかになっています。
ストレス状況については、「役職なし」の男性を除くと、役職が高い人ほど、ストレスを感じている人が少ないことも示されています。役職が高い人ほど、責任は重いものの、仕事の裁量もあり、働きがいややりがいを感じていることで、たとえ忙しくても睡眠がきちんととれているとうことなのかもしません。
主体性をもって休暇の取得する
休暇をきちんと取得して、心身ともに疲労回復することはとても大切です。働き方改革関連法等の影響から、有給休暇を取りやすい職場は増えていると思いますが、その休暇は、どれだけ自分の意思で取得をしたものでしょうか。なかには、職場の都合上から、取得実績づくりのために、強く奨励されるケースは少なくないと感じます。
しかし、定年後に仕事をしていなければ、毎日、主体的に自分でやることを決めなければなりません。ゴールデンウイークや土日、年末年始だけではなく、日ごろから自分が主体的に休みを取る習慣をつけることは、新たな経験の蓄積だけではなく、定年後の過ごし方の準備にもつながるのではないかと考えます。