定年後の生活を考えるようになってから、多くの人にとっての重要な関心ごとの1つが健康ではないでしょうか。よりよい生活を過ごすためになによりも大切なのが健康の維持・向上です。厚生労働省(※1)によると、健康寿命と平均寿命の差は2019年時点において、男性は8.73年、女性は12.07年です。データだけを見ると、あまり自分事と感じることはできないかもしれませんが、この年数を健康に過ごせるか、否かは、人生の充実度合いも変わってくるかもしれません。本稿では日本総合研究所創発戦略センタースペシャリストの小島明子氏が、定年の準備に向けた健康について解説していきます。
学歴が高い人ほど運動やスポーツを行っている!?
日本総合研究所の調査によれば、特に東京圏の企業に勤める高学歴中高年男性ということに目を向けると(大学難易度区分の高さの順はD>C>B>A)、「運動やスポーツをしていない」男性は、学歴区分Aでは40.3%、学歴区分Bでは42.4%と同程度。しかし、学歴区分Cをみると35.7%、学歴区分Dでは32.8%まで減り、大学難易度区分が高いグループほど、運動やスポーツを行っていることが明らかになっています。
体力への自信は、大学難易度区分ではほとんど差異はなく、自信がある男性(「体力に自信がある」「どちらかといえば体力に自信がある」)は約半数であり、大学難易度区分が高いグループほど、普通体重(BMI18.5~25未満)の男性が増える傾向がみられます。運動習慣のある高学歴中高年男性が全体として多いとは言い切れませんが、大学難易度区分が高いグループに含まれる男性ほど、健康への意識は高いことがデータで読み取れます。
コロナ禍以降は、オフィスワーカーを中心に、テレワークが増えたことで、座る時間が長くなっている方は少なくありません。日本人は、諸外国のなかでも座る時間が長い国といわれていますが、座る時間が長いと寿命が短くなるというリスクも指摘されています※2。
厚生労働省では、1日約8,300歩※3を目標に掲げていますが、定期的な運動とともに、歩数計で管理しながら、日ごろから歩いたり、階段を上る癖などをつけることが大切です。因果関係があるというわけではないのですが、年収が高い人ほど、よく歩き、早歩きであるというデータもあります。
健康であれば、仕事のパフォーマンスも上がり、質の高い仕事や勉強ができますので、運動が難しければ、まず、早歩きと、歩数を稼ぐということから始めてもよいのではないでしょうか。