自律神経の乱れが「太りやすい体」に変えてしまうワケ

つまり、2つの神経が必要なときに、必要な分だけ働くことが大切なのです。よくいわれる、「自律神経が乱れた状態」というのは、2つの神経が必要なときに必要な分だけ働いていない状態です。

例えば、前述したように、ストレスは自律神経を乱す大きな原因となります。なんらかのストレスを受けたとき、私たちの体はいつも通りの状態を保とうと活動します。

その1つが交感神経の活性化です。ストレスを受けるとそれに対応するために交感神経が優位になり、しっかりと呼吸をして酸素を取り入れたり、全身へ血液が行き渡るように心拍を速くしたりします。

ストレスという非常事態を乗り切るために、体が戦闘態勢を整えるのです。それは、体を守るためには必要なことなのですが、長く続いてしまうと、夜、副交感神経が活発になる必要があるのに、交感神経によってその働きが抑制され、うまく働かなくなり、体に不調が出ます。

さらにその不調をなんとかしようと自律神経が頑張ることで、自律神経がオーバーワークになってしまい、本来の働きが、どんどんできなくなってしまうのです。

例えば、胃腸の働きが抑制されて食べたものの消化が滞り、便秘になり、ぽっこりお腹になりやすくなります。そしてなにより、血流が悪くなることで代謝が下がります。代謝が下がると、先ほど説明したように、脂肪をためやすい、太りやすい体になってしまうというわけです。

小林 弘幸
順天堂大学医学部教授