コロナ禍によって多くの人の頭を悩ませた「コロナ太り」。なかなか痩せられない原因は、一体どこにあるのでしょうか。本記事では順天堂大学医学部教授の医師、小林弘幸氏による著書『お医者さんがすすめるバナナの「朝食化」ダイエット 超シンプルな腸活健康法』(アスコム)から一部抜粋して、「太りやすくやせにくい体」になってしまう原因について解説します。
「勝手にやせる体づくり」に絶対必要な2つの要素
「ストレスがやせにくい体にする」と先ほど述べましたが、これはやせる体づくりに、自律神経が大きくかかわってくるからです。
結論からいいます。勝手にやせる体づくりには、「自律神経」「腸内環境」の2つを整えることが大切です。ここでは1つ目の要素である自律神経から説明していきましょう。
自律神経の役割とは
自律神経とは、中枢神経(ちゅうすうしんけい)と体のあらゆる器官をつないでいる末梢神経(まっしょうしんけい)の1つです。内臓の働きや呼吸、血流、体温の調整など、体の機能を24時間コントロールしている体の司令塔のような役割を担っています。
例えば、重要な場面で鼓動がはやくなる経験をしたことはないでしょうか? これは自律神経が働き、心拍数や呼吸数を上げることによって、酸素や栄養素を体全体に送らせてエネルギーを高め、戦闘状態にしているからなのです。
また、暑くなったら汗をかく。これも体内の温度が上がりすぎてオーバーヒートしないように、自律神経が汗腺を刺激して汗をかかせて、体温を適切にコントロールしているから起こります。
このように、自律神経が各器官に命令を与えることで、私たちは生命を維持しています。
自律神経には、体が活発に動いているときに優位になる「交感神経」と、リラックスしているときに優位になる「副交感神経」という2種類があります。この2つの神経のどちらかが環境や状況に合わせて優位に働くことで、私たちが生きるために必要なあらゆる機能を適切にコントロールしています。
一般的には、日中の活動的な状況のときは交感神経が優位な状態になります。一方で、副交感神経が優位になると、血管が拡張して、心臓の動きはゆるやかになり、血圧が低下して、体は休息モードになっていきます。
よく「副交感神経を高めましょう」という話が出るので、勘違いされやすいですが、この2つは、どちらかが優位な状態を保つことがいいということではありません。
仕事や作業などで活動的に動こうとするときには、交感神経が優位に活発に働かなくては、やる気も出ないし、集中もできません。
一方で、夜寝る前などの体を休めるときなどは、副交感神経が優位に働いていないと、体が十分に休めずに、不眠や慢性疲労といった症状を抱える原因となります。