以前と比べて、転職が一般的になってきている現在も、ミドル・シニア世代、しかも異業種への転職は、決して簡単ではありません。しかし、あるポイントを抑えることで、転職の成功率が飛躍的に上がる可能性があります。50代でホテルのマネージャーからIT業界への転職を成功させた田中さんの事例からみていきましょう。『55歳からのリアルな働き方』(かんき出版)著者の田原祐子氏が解説します。
50代で「異業種」に挑戦…ホテル→IT業界へ転職も“違和感なく”働けるワケ【人材開発コンサルタントが解説】
“ホテルのマネージャーとIT企業のマネージャーは、本質的に同じ”
「マネージャーだから、何でも知っていなくてはならない」というのは、むしろ私たちの思い込みかもしれません。田中さんの偉ぶらない人間性や、素直に何でも質問できる行動特性も功を奏して、晴れて採用になったのだと感じます。
田中さんに言わせれば、実際に仕事をしてみると、マネジメントで重要なのは、クライアントとの交渉や、社内のメンバーが予定通りシステム構築できるように人間関係やスケジュールを調整することなのだそうです。であるならば、ITの知識より、むしろ調整能力や管理能力が求められるわけです。
田中さんは、「以前の仕事(ホテルのマネージャー)と今の仕事(IT企業のマネージャー)は、本質的に同じ。自分としては、違和感なく、以前と同じ仕事をしていると思う」と言います。
このように捉えれば、これまであなたが経験してきた役職や役割の大部分は、他業界でも十分活用できる、とても汎用性の高いメタスキルなのです。
田原 祐子
人材開発コンサルタント/ナレッジ・マネジメント研究者