コロナ禍でホテル稼働率激減…IT業界への転職を決意した田中さん

ホテルのマネージャーとして長く勤めてきた50代の田中さんは、IT企業のマネージャーに転身しました。まったく畑違いの職場への転職ですから、おそらく驚かれた方もいることでしょう。

転身のきっかけは、「コロナ禍によるホテル稼働率の激減」が原因です。転職をしようと思っても、宿泊・旅行・観光等、すべての領域が、壊滅的なダメージを受けているため、この業界への転職は考えられなかったそうです。

田中さんは、自分自身の強みである「実践スキル」を棚卸ししました。ご自身の潜在的な可能性や、やってみたいこと、また市場価値の高い「メタスキル(どの部門にも転用できるスキル)」の存在に気づいたのです。

「自動化システム」に関心大…思い切って“IT業界のマネージャー”にチャレンジ

田中さんは、現在、多くのホテルで導入されている、予約を促進するためのマーケティング自動化システムツールMA(Marketing Automation =マーケティングオートメーション) や、営業活動や予約状況を管理する、営業活動自動化システムSFA(Sales Force Automation)について、自分自身のやりたいマネジメントが上手く反映されるため、システムには明るくないものの、大変興味を持っていました。

そこで、コロナ禍でむしろ業績が拡大しているIT業界について調べたところ、マネージャーの求人があることに気づきました。

しかし、田中さんがこれまで従事してきたホテル業界の専門分野の知識は、IT企業ではまったく活⽤できません。

一方、田中さんのホテルにおける実践スキルは、⼈材のマネジメント・社内リソース配分・年間事業計画のスケジューリング・実績管理能⼒等です。業界は違っても、ある程度活⽤できるわけです。これらは、まさにメタスキルです。

田中さんは、思い切って面接を受けたところ、悲願が叶い見事採用されました。

田中さんに、「ITの知識は、どうやって学習されるのですか?」とたずねたところ、「ITに関しては初心者ですから、むしろ知ったかぶりをせずに、若い人にも教えてもらっていますよ! みなさん、親切に教えてくれるので、楽しく仕事をしています」という返事が返ってきました。