専業主婦は優遇されすぎ!の元凶…「主婦年金」とは?
厚生労働省『令和4年版厚生労働白書』によると、2021年、共働き世帯は1,247万世帯と、専業主婦世帯(566万世帯)の2.2倍となっています。
いまから遡ること、40年以上前の1980年。専業主婦世帯は1,114万世帯、共働き世帯614万世帯と、現在とちょうど逆の立場にありました。その後、共働き世帯は増加、専業主婦世帯は減少。1991年には初めて共働き世帯が上回りました。その後、両者、均衡状態にありましたが、2000年代に入ると、徐々にその差は拡大。さらにリーマンショック後の2010年代に入ると、その差はさらに拡大し、いまや専業主婦世帯は少数派となっています。
専業主婦がよいのか、それとも共働きがよいのか。それは人それぞれ、家庭それぞれですが、現在、さまざまな制度が「男性は外で働き、女性は家を守る」という家族が多数派を占めていた時代に設計されたものなので、何かと「専業主婦は優遇されている」と議論になることがあります。
そのひとつが「主婦年金」と呼ばれるもの。
日本の公的年金のうち、基礎年金とされる国民年金は、自営業や学生などの「第1号被保険者」、会社員や公務員などの「第2号被保険者」、第2号被保険者に扶養されている配偶者である「第3号被保険者」の3つの種別に分けられます。
第1号~第3号の決定的な違いは、保険料の納付方法。第1号は加入者自身で納付、第2号は会社などの負担額と併せて会社が納付、加入者は給与から天引きされます。第3号は配偶者が加入する年金制度が負担し、本人たちは自己負担なしのため納付は不要。
第3号被保険者が創設されたのは1985年。専業主婦世帯が多数派を占めていたころなので、むしろ「この制度、助かる!」という人たちが多かったわけです。しかし時は移り変わり、圧倒的に共働き世帯が優勢な時代。働く女性からも「なんで専業主婦の人たちは、自分たちで保険料を払っていないの?」と疑問を口にするほどです。