(※写真はイメージです/PIXTA)
住宅ローン完済で「老後の不安はひとつ消えた」はずだった
「これで、大きな支払いはもう終わりだと思っていました」
そう話すのは、佐々木和夫さん(68歳・仮名)と妻の恵子さん(66歳・仮名)です。会社員として働いてきた和夫さんは65歳で退職。退職金として約2,800万円を受け取りました。夫婦の年金収入は月29万円ほど。長年住んできた自宅の住宅ローンも、ちょうどそのころに完済しています。
「毎月の返済がなくなったので、その分を老後資金に回せると思っていました」
恵子さんも同じ認識で、「大きな出費はもうないだろう。あとは年金と貯蓄で穏やかに暮らせる」と考えていたといいます。実際、完済直後の家計は安定していました。特別な贅沢をするわけではなく、平穏な日常に何ともいえない幸せを感じていたといいます。
転機が訪れたのは、ローン完済から3年ほど経ったころ。給湯器の不具合がきっかけで、住宅設備の点検を依頼しました。
「単なる点検のつもりだったんですが、せっかくなら外壁や屋根の状態も見てもらうことになって」
結果は、想像以上に深刻なものでした。
「外壁の劣化が進んでいて、このままだと雨漏りのリスクがあると言われました」
提示された見積もりは、外壁塗装や屋根補修、設備交換などを含めて約300万円。さらに「ついでに床下も見ておきますね」と点検した結果、業者から告げられたのは、思いがけない内容でした。
「シロアリの痕跡があります。このままだと構造に影響が出る可能性があります」
突然の指摘に戸惑いを感じつつ、まずは判断を保留。数日後、別の業者にも点検を依頼しました。
「床下のシロアリ……よくある詐欺の常套手段かも、と疑ってしまったんです」
しかし、結果はほぼ同じ。床下の木部に被害が見られ、放置すれば建物全体に悪影響が広がるという説明でした。さらに点検を進めるなかで、他部位の劣化も発覚。最終的な見積もりは、複数の工事を合わせて600万円を超えました。
問題は、その支払い方法でした。
「この先、医療費や介護のこともあります。手元の資金を大きく減らすのは不安でした」
夫婦で話し合った結果、リフォームローンを利用することに決めます。現金はできるだけ温存したほうが安心だという判断です。こうして住宅ローン完済から数年後、再び毎月の返済が始まりました。返済額は月およそ4万円。年金収入の範囲内であれば、一見、大きな負担ではないように思えました。
