『家事か地獄か 最期まですっくと生き抜く唯一の選択』の著者である稲垣えみ子さんは、会社を辞めたことをきっかけに広い家から新居に引っ越すことに。しかし、狭い新居の台所収納はそれまでの4分の1程度しかなく、大々的に台所用品を絞ることになりました。不便になるかと思いきや、その片付けは「永遠に美味しい生活」に繋がっていたのです。そんな片付けから始まる実体験を著書から一部抜粋してご紹介します。
キッチン用品大処分→貧乏長屋状態の台所でつくれるのは「メシ・汁・漬物だけ」…なのに毎日「究極のご馳走」を食べて満足できているワケ
予想もしていなかった新たな世界への入り口
美しいレシピ本、あるいは動画サイトなどを見て、あーこれ美味しそう! これも食べてみたい! と、毎日違う世界のゴチソウやら、絶品ナントカやら、無限ナントカやらを作って食卓にズラズラ並べる―それはもはや現代日本の「ごく普通の食卓」であります。
ってことで、来る日も来る日も「メシ・汁・漬物」を食べて生きていると言うと、すごい勢いでドン引きされる。どこぞの宇宙人あるいは不審者でも見るような……ということを、この7年間何度繰り返してきたことか。
必ず言われるのが、コレ。
「それって……飽きません?」
うん。わかりますよ! 確かに飽きるとすれば考えただけで辛そうだ。もちろん飽きたとて餓死するわけではないが、だからといってドウデモいい問題かというと全くそんなことはない。辛いことばかりがはびこるこの世の中で、日々美味しいもの、好きなものを食べることは万人に残された数少ない希望だ。
それを、餓死しない程度の最低限のものだけをボソボソ食べて生き続けるなど、まるで何かの刑罰のようではないか。
で、実際どうなのか?という話であります。
それは、予想もしていなかった新たな世界への入り口であった。