『家事か地獄か 最期まですっくと生き抜く唯一の選択』の著者である稲垣えみ子さんは、電子レンジ、フードプロセッサー、極めつけとして冷蔵庫まで手放しました。その結果、キラキラした料理本を参考にするなど凝った料理をつくる日々から、超ワンパターンな「地味メシ」を食べ続ける生活へと大きくチェンジ。食事がおいしくない、つまらない…という状況になると思いきや、贅沢なごちそうをあきらめたことで、「何もかもが手に入った」というのです。その理由を著書から一部抜粋してご紹介します。
メシ・汁・漬物…「代わり映えのしない食事」から生まれたものとは
ずっと自分は料理好きだと思っていたし、料理は楽しみであり趣味だと思っていた。だがこうなってみれば、たとえ楽しみだとしても、あまりにも常軌を逸した時間とエネルギーをそこにつぎ込みすぎていたことに気づかざるをえなかった。
しかも思い返してみれば、そこまでの多大なるエネルギーを料理につぎ込みながらも、私はいつだって新たな美味しいレシピを探していた。あれだけ努力しても、絶えず「もっと美味しいものがあるはず」と満たされぬ思いを抱え続けていたのだ。でも今は違う。
「メシ・汁・漬物」という食事を毎日食べるようになったら、飽きるどころか、そのご飯が楽しみすぎてハンパな外食などしたくない。私が一番好きな食べ物はコレだったのだと生まれて初めて気づいた。
私はこの簡素な食卓にいつも満足している。ここがまさに最終ゴール。どんな「美味しいもの情報」にも我が心はピクリとも反応せず。その平安、楽さ、余裕といったら!
ということはですよ。この全てをまとめますと、今や私は、面倒な炊事からスッキリと解放され、その結果、膨大な時間とエネルギーと平安を手に入れて、しかも、毎日究極にうまいものを食べているということになる。
さらに言えば、毎日同じものを食べていると「食べ過ぎる」ことがないのでダイエットとも無縁となり、しかも結果的にこの食卓はいわゆるバランスのとれた献立ゆえ超健康的。なので、美容やダイエット情報にも一切興味がなくなった。ここでもさらに時間とエネルギーと平安が生まれたのである。