心身の健康を維持するには、どんな「食生活」を送っているかが重要となります。心理学者の内藤誼人氏は、著書『老いを楽しむ心理学』(ワニブックス)で、「ランチは〈ハンバーグ定食〉より〈サバの味噌煮〉」を推奨しています。その理由について詳しくみていきましょう。
魚と野菜を中心とした食生活の「驚くべきメリット」
魚と野菜を中心にした食生活をしていれば、うつ病にもなりにくく、糖尿病や肥満も予防できるというお話をしました。実は、魚と野菜のメリットはこれだけにとどまりません。私たちの認知機能にも好ましい効果をもたらしてくれることもわかっているのです。
米国ラッシュ大学のマーサ・モリスは、1週間で魚を食べる頻度で、3つのグループにわけました(図表)。それからすべての人の認知機能の衰えを測定してみると、1週間に一度も魚を食べない人より、1回は食べる人のほうが認知機能の衰えを10%遅らせることができ、1週間に2回食べる人は、13%遅らせることがわかりました。
魚を食べていると、認知機能、すなわち記憶力も、判断力も、そんなに低下しなくなるのです。
ドイツにあるハインリッヒ・ハイネ大学のクリスティナ・ポリドリは、45〜102歳の193名にどれくらい野菜や果物を食べるかを尋ねて、「たくさん食べる」グループと、「あまり食べない」グループにわけて、それぞれの認知機能の差を調べてみました。
その結果、1日に350g以上の野菜や果物を食べるグループのほうが、1日に100g以下のグループに比べて、認知機能の低下は少なかったのです。
認知症の予防に、魚と野菜を中心にした食生活を意識することをおすすめします。
ランチの際には、「今日はハンバーグ定食じゃなくて、サバの味噌煮にするか」と、気軽に取り入れてみてくださいね。
内藤 誼人
心理学者