富裕層が多く暮らす高級住宅街として知られる東京都港区。一方で、生活に苦しむ1人親世帯や貧困層も多く存在していることはあまり知られていません。本記事では、Aさんの事例とともにシングルマザーの実態と住まいについて、FP1級の川淵ゆかり氏が解説します。
生活保護でやっとの暮らしだが…高級住宅街「港区」在住の元経営者妻・31歳シングルマザーが“引っ越さない”ワケ【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「港区」イメージの勘違い

さて、A子さんは離婚したときに母親からは田舎に帰るように言われ、一度実家の近くにアパートを探そうとも思いましたが、生活保護を受けるような暮らしですから、引っ越しなどに使えるお金もありませんし、田舎ですから車がないと買い物や仕事に行くのも不便です。

 

「母親がそばにいると心強いのですが、余裕がないので引っ越しはできません。車を買うお金なんて当然ありませんから田舎には住めません」と、A子さんは言います。つまり、A子さんは、いまの住居から動くことができないのです。

 

さらにA子さんは続けます。

 

「都内とか港区というと、物価が高いとかお金持ちだ、と思われる人が本当に多いですが、実際は違います。たしかに離婚前に住んでいた場所はそれなりの家賃で毎月の生活も贅沢な方だったと思います。ですが、港区でもいろいろあるんですよ。港区の住まいは高級住宅街や高層マンションがイメージされますが、ボロボロのアパートだってけっこうありますよ。スーパーも高級なスーパーだけではないんですよ。実家の近くのスーパーと値段もほとんど変わらない所もありますし、商店街や100円ショップだって普通にあります。本当に色んな建物があるし、いろんな人が住んでいる所です」

 

港区は大企業も多く集まり、お金持ちも多く住む町ですから税収も大きくなります。そのため、福祉も手厚くなります

 

全国には1,718の市区町村があります(令和5年1月1日現在)が、人口減少や都市部への人口流出によって、2040年には全国の自治体の半数が消滅の危機であると言われています。もちろん、感じ方は人それぞれでしょうが、A子さんのように港区などの都心のほうが、ひとり親世帯にはいいかもしれませんね。

 

 

 

川淵 ゆかり

川淵ゆかり事務所

代表