長く働き続けることで老後の不安を解消しようという人も多いでしょう。70歳までの就業機会の確保が企業の努力義務となり、実際、65歳以降も働く人は増加傾向にあります。けれども、頑張って働いたことで、受け取れる年金額が減ってしまうケースも。今回は、65歳以降も働くことを会社から打診されたMさんを例に、年金の受け取り方を決める上で知っておくべき仕組みについて、南真理FPが解説します。
年金見込額12万円、退職間近の64歳女性「働いて年金が減るなんて、そんなまさか」驚きから一転、65歳以降も働く決断をしたワケ【FPが解説】
Mさんが決めた老後の働き方・年金のプランは?
ここまでの説明を聞いて、MさんはFPにこう話しました。
「子ども達の教育費が必要で、37歳から今の会社で働き始めました。仕事は好きだし、会社に求められることは嬉しいです。私の場合、働き続けても年金がカットされる心配はなさそうですし、収入があると安心して生活できるので、65歳以降も今の会社で働くことに決めました。年金は仕組みが複雑で分かりづらかったですが、今回の話を聞いてよく理解できました。私は長生きしそうだし、繰下げ受給も視野に入れてみます」
年金の繰下げ受給は、今のところ利用者は少ないのが実情です。しかし、Mさんのように70歳まで働くことが当たり前の時代がもう目の前に迫っています。働き続ける人が増えれば、年金の繰下げ受給を選択する人が増えてくる可能性もあります。
働き方の選択肢が増える分、年金の受け取り方にこれまで以上に迷う人も増えるかもしれません。制度を理解した上で、個々の健康状態とライフプランを考慮し、慎重に選択していきたいところです。