卒業式以来、大学時代の友人と会ったら…
真新しいスーツにビシッと決めた新卒社員。希望に満ちたその姿に「昔の自分を見ているかのよう」と懐かしむのも春ならでは。そのような光景を前に、社会人歴10年というサラリーマンが大きな溜め息を漏らします。
――自分も10年前は、あんなキラキラした目をしていたな
――でも入社して25日後には「自分の選択が間違いだった」と愕然とした
入社して1ヵ月も経っていないのに……男性の身にいったい何が起きたのでしょうか。そのきっかけは「大学の卒業式以来、久々に大学の同級生と飲んだこと」だったと振り返ります。話題は当然、会社のこと。研修はどうだ、先輩はどうだ、同期には……そんな話の後に、話は初任給のことに。男性も友人も4月25日が初めての給料日だったこともあり、初任給で何を買うかという話題になったといいます。
――やはり親にプレゼントは鉄板かな
――でも1人暮らしだから、そんな余裕はないしな
そんな会話から、自然と給与額の話になったといいます。
――俺は額面で28万円ほどだった
――(えっ、そんなにもらったのか)すごいな……
この後、友人との会話があまり耳に入ってこないほどの衝撃を受け、落ち込んだと男性。たしかに友人は給与水準の高い会社から内定をもらっていたので、初めから自身よりも給与が高いことは分かっていたといいます。しかし「初任給でいきなり5万円以上の差がついた」と男性。大きな衝撃を受けたと振り返ります。
――入社して1ヵ月も経っていないが……もう自分の選択を後悔している
厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』で新規学卒者(未就業入職者のうち新卒の者)の給与についてみていくと、平均月収は22万4,400円。大学卒業者に限ると23万7,300円です。また男女別にみていくと、男性22万6,800円(大卒24万0,300円)、女性22万1,800円(大卒23万4,300円)。多少の男女差はあるものの、それほど大きな給与差はありません。さらに大卒新入社員の平均給与を業種別にみていくと、最も給与水準が高いのは「鉱業、採石業、砂利採取業」で平均28万円。平均よりもプラス5万円で、業種別では頭一つ抜けた存在です。
【業種別「新規学卒者(大学)の給与」上位10】
1位「鉱業、採石業、砂利採取業」28.82万円
2位「医療、福祉」25.14万円
3位「運輸業、郵便業」24.84万円
4位「情報通信業」24.44万円
5位「学術研究、専門・技術サービス業」24.19万円
6位「建設業」24.06万円
7位「不動産業、物品賃貸業」23.69万円
8位「教育、学習支援業」23.54万円
9位「卸売業、小売業」23.51万円
10位「製造業」23.34万円