人事院『令和8年版公務員白書』には、公務員の人材確保を巡る危機感が色濃く表れています。一般職の国家公務員には最低賃金法は適用されませんが、最低賃金の上昇を受け、一部の若手職員では給与水準が地域別最低賃金相当額を下回るという異常事態も発生しており、国もかつてない「特例措置」への対応を迫られています。現場では何が起きていたのか。若手職員の声から実態を追います。
「友人は時給1,500円なのに…」〈手取り18万円〉24歳・国家公務員の嘆き。最低賃金割れの異常事態に国が下した「前代未聞の決断」 ※写真はイメージです/PIXTA

友人は時給1,500円のアルバイト。自分は国家公務員なのに…

「国家公務員になれば安定している。そう思って就職しました。でも、給与明細を見たときは正直驚きました」

 

そう話すのは、地方の国の出先機関で勤務する佐藤健太さん(24歳・仮名)です。大学卒業後、一般職試験に合格し、地元近くの行政機関へ入庁しました。初任給は決して極端に低いわけではありません。しかし、昨今の最低賃金の引き上げが続くなか、周囲との"逆転"を実感する場面が増えていったといいます。

 

「学生時代の友人は飲食店でアルバイトを続けていますが、時給は1,500円近くになっています。今は月手取りで18万円ほど。自分の給与を時給換算すると、『あれ、そんなに変わらないのか』と思うことがありました」

 

もちろん、公務員は賞与や各種手当もあり、単純比較はできません。それでも佐藤さんは、「責任の重さを考えると、正直複雑でした」と打ち明けます。

 

窓口対応では住民から制度の説明を求められ、災害時には休日出勤もあります。

 

「公務員だから当然と言われればその通りですが、友人から『その給料なら民間に行ったほうがいいんじゃない』と言われたこともあります」

 

近年は職場でも若手職員の退職が珍しくなくなったそうです。

 

「同期でも転職した人がいます。IT企業や地元企業に移った人もいました。安定した職に就いたのに、こんなに短期間の間にキャリアチェンジをするなんて……」