雄大な自然を五感で感じられる名湯の源泉

02.ニセコ湯本温泉(北海道蘭越町)

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[写真2]ニセコ湯本温泉の源泉「大湯沼」写真:PIXTA

スキーで国際的に有名なニセコ山系のチセヌプリ南麓に濃い硫黄臭を漂わせながら高く湯煙を噴き上げる大湯沼は、ニセコ湯本温泉の源泉で、すぐ近くの野趣あふれる露天風呂で人気の「蘭越町交流促進センター雪秩父」や温泉旅館へ送湯されています。

縦約50メートル、横約90メートル、周囲約200メートルの大湯沼には、遊歩道が整備されており、歩いていると、強烈な硫黄の匂いや定期的に沼底から噴き上がる灰白色の熱湯が見え、地球の脈動を感じます。明治時代には硫黄を採掘していた大湯沼の沼底から、二酸化硫黄を含む120度前後の高温ガスが噴気し、湯面は煮えたぎるようで、迫力があります。湯面には湯の花(学術的に貴重な黄色球状硫黄)が浮遊しています。

大湯沼から入浴施設「雪秩父」まで数十メートル。人気の野趣あふれる露天風呂に浸かりながら、源泉100%かけ流しの生源泉を五感で堪能しました。露天風呂から間近に大湯沼の高く立ち上る湯煙が見えます。これほど贅沢な湯浴みはそうないでしょう。

目の前のチセヌプリは全山、錦の秋色に彩られていました。嗅覚で硫黄の香りを感じ、視覚で白濁した湯の色、紅葉の山を愛でる。湯口から浴槽に湯が注ぎ込み、ときおり静かに吹き渡る風が草木を揺する音に聴覚を呼び覚まし、触覚で湯の花の浮かぶ濃厚な硫黄泉の感触を全身で堪能する。こうして源泉地で本物の自然に包まれながら、五感を蘇生させる――。

03.須川高原温泉(岩手県一関市)

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[写真3]須川高原温泉(岩手県一関市)写真:PIXTA

岩手、宮城、秋田の三県にまたがる栗駒山の中腹、標高1,126メートルの高所に湧く須川高原温泉。平安時代の発見と伝わる湯温50度近く、pH1.9の強酸性の明礬・緑礬泉(含鉄(Ⅱ)・硫黄―ナトリウム―硫酸塩・塩化物泉)は、江戸時代から療養の湯で知られ、現在では300年以上にわたる陸奥の秘湯として、また栗駒山の登山基地としても根強い人気です。

旅館部と湯治部から成る「須川高原温泉」の大きな木造の施設の裏手にまわると、毎分6,000リットル(ドラム缶約30本)もの大量の明礬・緑礬泉が噴出し、美しい源泉が湯川となって流れ落ちる様子を間近に見ることができます。一か所の泉源から湧出する量としては全国2位です。川床は硫黄で黄色味を帯びており、また猛烈な勢いで流下する源泉は美しい青味を帯びています。

事実、すぐ近くの大露天風呂も同じような鮮やかな色をしていました。登山路を10分ほど歩くと木造の小屋があります。入り口に「蒸し風呂」と書かれています。その昔、里に住む花魁が好んで入ったことから通称「おいらん風呂」と呼ばれています。床に穴が空いており、そこから激しく蒸気が出てきます。穴をふさがないようにゴザを敷いて寝そべりタオルとビニールにくるまると、間もなく全身が蒸気に包まれ気持ちのよいこと!

体が軽くなりました。もちろんパワーみなぎる生源泉によるデトックス(解毒)効果も!