日本人の国民病とも言われる「糖尿病」。予防するために重要なのは「脂肪を落とすこと」だと、肝臓外科医の尾形哲氏は言います。尾形氏の著書『専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす食事術 予約の取れないスマート外来のメソッド』(KADOKAWA)より、糖尿病の予備軍である「境界型糖尿病」に加え、「脂肪肝」と診断された広人さん(仮名)との会話を通して、健康的に減量する方法について見ていきましょう。
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摂り過ぎも危険!1食あたりのタンパク質の摂取量の目安は?
「タンパク質の話が出たところで、タンパク質の摂り方についてもお伝えしておきましょう。先ほどすぐにお腹がすくという話がありました。広人さんはタンパク質量が少し足りないかもしれません」
「私もお肉やお魚をどれだけにすればいいのかよくわからなくって……。食べさせすぎてもいけないのかと思い、迷い迷いでした」
妻が身を乗り出してきた。
本当にありがたい。僕は食べ物なんて、味と量を重視でこれまで過ごしてきた。栄養素のことは、まだまだ勉強不足と言わざるを得ない。
「まず、タンパク質がなぜ大切か説明しましょう。タンパク質は体を作る栄養素と言われますが、筋肉量を維持するために重要な栄養素です。筋肉量が十分なら、特別な運動をしていなくてもエネルギーが消費されるんです。要は、糖質がエネルギーとして使われやすいということです」
「だから、タンパク質はたくさん摂ったほうがいいわけですね」
「ただ、いくらでも摂っていいというわけでもありません。タンパク質は、多く摂りすぎると生活習慣病のリスクが上がることが知られています。また、1度に多量に摂っても、消化吸収できないのです。毎食20g以上30g以下にするといいですね。安全なタンパク質は、順に①大豆、②魚、③とり肉、④赤身肉(牛・豚)です」
なるほど。改めて、栄養素について知らないことばかりだ。
「何事も適量があります。広人さんのように糖質を減らしてすぐ空腹になるなら、野菜と一緒に毎食タンパク質を20~30g摂りましょう。この習慣を身につけたことで、ダイエットに成功した人は多いですよ」
肉や魚を増やして減量できる。俄然興味深く、先生の話に耳を傾けた。先生は、目安となるタンパク質20gの覚え方を教えてくれた。まず、肉と魚は100gでタンパク質20gになるそうだ。
以下の食品は、タンパク質7g分の分量として覚えておくといいらしい。①豆腐は3分の1丁、②卵は1個、③納豆は1パック、④無糖のヨーグルトは150g。これらの食品を3つ選んで食べれば、タンパク質を21g摂れることになる。
「この換算法を知っていると、献立を考えやすくなります。それに、朝食でタンパク質20gを摂っておくと空腹感が減って、減量もさらにラクになりますよ」
今の僕にとって、大変ありがたいアドバイスだった。
朝食にタンパク質を20g摂ると、空腹感が減り減量がラクになる。
尾形哲
長野県佐久市立国保浅間総合病院
外科部長/「スマート外来」担当医