年金と収入のバランスを取って損をしないように工夫する

今回は在職老齢年金の仕組みにより、厚生年金が一部支給停止となってしまった事例を紹介しました。せっかく公的年金を受け取ることができる時期になったのに、年金が減らされてしまう仕組みは、定年延長や労働力の確保を課題とする現状において、時代に合わない制度ともいえます。

また、とくに収入が高い人は厚生年金部分の受給額も高くなるため、65歳以降に収入を得ている場合に在職老齢年金によって減額される金額も大きくなりがちです。原則として収入が高い人ほど高い年金保険料を支払う制度になっているのもあり、「長年高い保険料を納めてきたのに、なぜ受け取るときに減額されなければならないのか…」と、納得がいかないという人も多いことでしょう。

しかし、損をしないためには、制度の範囲内で年金と収入のバランスを取り、損をしないように工夫するしかありません。65歳以降も働く予定がある人は、まずはこの「在職老齢年金」という年金減額の仕組みがあることを知っておくことが大切です。

そして、現役世代と同等以上の収入を得る予定があるのか、公的年金が減額される可能性があるのかどうかを確認してみましょう。もし減額の可能性があれば、税制面なども加味しながら最適な給与の受け取り方や働き方を検討することをおすすめします。そうすれば、あとから後悔することなく、納得のいく年金の受け取りができるでしょう。

小川 洋平
FP相談ねっと