元気でいるように見える高齢の親も、いつ病気やケガでこれまでと同じような生活ができなくなるかは誰にもわかりません。そうした事態が訪れた際に、子どもが困ることのないよう、日ごろから準備をしておくことが重要です。本記事ではAさんの事例とともに、高齢親の財産管理の注意点について、株式会社アイポス代表の森拓哉CFPが解説します。
老人ホームにいるはずの高齢父の“クレカ”から毎月、謎の請求が…財産〈年金150万円と貯金2,000万円〉を管理する50代娘、真相に衝撃「思わず耳を疑いました」【CFPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

ペーパーレス化対策の重要性

今回のケースでは、Aさんの暮らしに問題があったというわけではありません。アクティブに仕事をして、一人暮らしのなかでも友人たちと充実した時間を過ごしていました。病魔は、突然襲ってきますから、避けようとしても避けられない部分があります。

 

それではAさんはどうしておけばよかったのでしょうか? ひとついえることはペーパーレス化の対策が挙げられます。ペーパーレス化の波は、コストや環境の問題から避けられないものがあります。便利ではあるものの、デジタル化が進み、すべての情報はパソコンの中、スマホの中となり、万が一のときに、情報にアクセスする方法がなくなってしまうというリスクを伴います。

 

すでにペーパーレス化しているのであれば、その情報にどうやってアクセスできるのかを物理的に紙に書いておくこともひとつの手立てでしょう。クレジットカードの明細書も時々は印刷して家族が共有して閲覧できる状態にしておく必要があるといえます。

 

絶対的な答えはないのですが、一人暮らしの高齢者がどういう暮らしをしているのかを視覚的に紙に記載された情報として置いておくだけで、課題を解決するヒントになり得ます。
 

※本記事は、実際にあった出来事をベースにしたものですが、登場人物や設定などはプライバシーの観点から変更している部分があります。また、実際の相続の現場は、論点が複雑に入り組むことが多々あり、すべての脈絡を盛り込むことは話の流れがわかりにくくなります。このため、現実に起こった出来事のなかで、見落とされた論点に焦点を当てて一部脚色を加えて記事化しています。

 

 

森 拓哉

株式会社アイポス 繋ぐ相続サロン

代表取締役