60歳からは5年に一度、骨量測定をお忘れなく

加齢により骨は徐々に弱くなり、骨折しやすくなります。高齢からの大腿骨(だいたいこつ)や背骨の骨折は、そのまま寝たきりへとなだれ込みかねないため、生活に大きくかかわるものです。骨の老化にはしっかり注意を払いましょう。

骨もまた、他の臓器のように新陳代謝(しんちんたいしゃ)を繰り返し、日々つくられることと壊されることが同時に行われています。しかし加齢により壊される割合が多くなり、骨量が低下。60代を超えたあたりから、骨が脆(もろ)くなってしまい、骨がスカスカになる「骨粗しょう症」と呼ばれる症状を抱える方が現れてきます。

女性では60歳以降で約25%、80歳以上では男女とも50%以上が骨粗しょう症になっています。

特に女性は、閉経期以降に女性ホルモンのエストロゲンが減少する影響で、男性よりも骨量の低下が早く始まります

閉経の世界平均が50.5歳から51歳。閉経後もしばらくはエストロゲンが出続けるのですが、5~6年後からかなり減少していきます。そこから5年ほど経った60歳が、最初の骨量チェックの目安です。

20歳代の平均値の70%以下であれば、骨折予防のための医療機関での治療が必要です。

これ以上骨量が減らないように、カルシウムの吸収や骨の形成を助ける薬が処方されます。

骨量の測定法は、かかとや手から測定する簡便なものよりも、微量のX線を用いたデキサ法と呼ばれるタイプをおすすめします。大病院や大学病院に限られますが、大腿骨や腰椎(ようつい)の骨量を正確に計ることができます。

骨量は急激に変化するものではなく、また骨量の低下がわかったあとにも尿検査や血液検査で、その進行具合を読み取ることができます。5年に1度の測定で十分なので、多少手間はかかりますが、できるだけ正確を期してください。

なお骨の老化には、遺伝の影響が70%もあることがわかっており、両親のいずれかに大腿骨頸部(けいぶ)(太ももの骨と股関節の接合部)の骨折歴があると、骨粗しょう症リスクは約1.5倍となります。該当する方は、60歳になったら忘れずに骨量の測定を行ってください。