40歳以上の8人に1人がトラブルを抱えています

加齢によって体はさまざまな影響を受けるのですが、そのひとつに排尿の問題があります。一番多いのが、いわゆるトイレが近くなる「頻尿」あるいは「尿もれ」ですね。

テレビでも関連グッズのCMをよく目にしますが、ある調査によれば40歳以上の8人に1人がこの問題を抱えているというデータもあります。

もちろん年代が上がるにつれて割合は高まり、80歳以上だと4割近い数値となります。

男女間でそれほど差はありません。

ただしデリケートな問題でもあるので、なかなか悩みを口にしづらい面があります。実際はもっと多くの方が悩んでいるのではないでしょうか?

歳をとれば、程度の差こそあれ誰にでも起こることですから、まずは正しくそのメカニズムを理解しておきましょう。

ちょっとお勉強~排尿のしくみ

では、排尿のしくみを簡単にご説明します。

腎臓でつくられた尿はいったん膀胱に溜められます。膀胱は薄い筋肉のようなもので伸縮性があり、約600ミリリットルの尿を溜める能力があります

この膀胱に半分ほど尿が溜まったあたりから、脳に信号が伝えられ、我慢するか排尿するかの判断を下すことになります。

「排尿する」となれば、脊髄(せきずい)をとおして指令が伝えられ、尿道を開き、膀胱がポンプのように収縮して尿を押し出すわけです。

排尿障害の原因のひとつは、老化による膀胱の筋力低下です。

伸縮性が失われて、尿をあまり溜められなくなり、頻繁に尿意を覚えるようになります。

また尿を押し出す力も弱まるので、排尿しても膀胱に尿が残ってしまい、すぐに尿意を覚えてしまいます。

あるいは、尿が尿道に残って漏れ出すことも起こります。

これに加えて、臓器の圧迫も排尿障害を助長します。

女性の場合、歳をとると子宮、膀胱、腸全体を吊っている膜や筋肉(骨盤底筋)が緩み、内臓の位置が下がってくる「下垂」が起こります。特に多産だった方は、子宮が何度も伸縮を繰り返したために、ことにそうなりやすい傾向があります。

この下垂した内臓は、骨盤の狭いところにはまり、子宮がただでさえおとろえている膀胱を圧迫して、頻繁に尿意を覚えることになるのです。

ただし、頻尿の原因はこれだけではありません。こうした臓器の老化に加えて、さらにメンタル部分も大きくかかわってくるのが、排尿障害の厄介なところなのです。