(※画像はイメージです/PIXTA)

お肉を食べると元気が出る! という人は多いのではないでしょうか。お肉は美味しいだけでなく、豊富なタンパク質を含む優れた食材です。そんなお肉の健康効果や、食べるときの注意点について、スポーツドクターの岡田先生にお話をうかがいました。※本稿は、健康、食、暮らしをテーマに、専門家による「すぐに役立つ」情報を届けるサイト『AUX Magazine』からの転載記事です。

お肉に含まれる栄養素と健康効果

お肉には、私たちの体の材料となるタンパク質をはじめ、さまざまな栄養素が含まれています。

 

①タンパク質

タンパク質は、体を構成する筋肉のほか、体の調節に必要なホルモンや酵素など、体に必要なあらゆるものの材料です。食事から摂取されたタンパク質は体内でアミノ酸に分解されて、吸収されます。



タンパク質が不足すると、筋肉量の減少につながります。とくに高齢者は、筋肉量が落ちることによる身体機能の低下が問題視されています。
また、タンパク質の不足により、ホルモンや酵素の生成に影響を与え、体の不調につながるおそれもあります。

 

②ビタミンB群

お肉にはビタミンB1、B2、B6、B12などが含まれています。ビタミンB1の不足による脚気は、江戸時代から昭和初期にかけて深刻な病気でしたが、日本人の栄養状態がよくなった現在はほとんどみられなくなりました。ビタミンB6の不足は口内炎の原因に、ビタミンB12の不足は貧血の原因になることがあります。

 

③鉄

鉄は赤血球を作るのに不可欠な栄養素であるため、鉄の不足は鉄欠乏性貧血の原因になります。とくに月経のある女性は意識して食事で摂取するよう注意が必要です。

 

④亜鉛

酵素を構成するミネラルのひとつで、亜鉛が不足すると体の不調の原因となります。とくに口の中の粘膜に関係が深いため、亜鉛不足は味覚障害や口の中の痛み、舌痛を引き起こすことがあります。また、皮膚炎や貧血にも関連しているといわれています。

 

牛肉に含まれる「ヘム鉄」は吸収効率が高い

体に必要な鉄分は、ホウレンソウなどの青菜にも含まれています。しかし、野菜に含まれる鉄は「非ヘム鉄」と呼ばれるほぼ鉄そのものであるため、吸収率が2%~5%と高くありません。それに対し、牛肉に含まれる「ヘム鉄」はタンパク質と結合した状態の鉄で、吸収率が非ヘム鉄の約5倍の10%~20%あります。

 

貧血の治療には薬の服用が一番効果的ですが、治療が終わったあとはお肉などから上手に鉄を取り入れることで、再発の予防が期待できます。

 

高齢者こそ食べてほしいお肉

日本では、高齢者の多くが炭水化物は十分摂取できている反面、タンパク質は不足しがちであるといわれています。タンパク質が不足すると筋肉量が維持できず、その結果、転倒で骨折し、寝たきりになってしまうケースが少なくありません。高齢者の方には、ぜひ意識して積極的にお肉を食べるようにしてほしいと思います。

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※ 本稿は、健康、食、暮らしをテーマに、専門家による「すぐに役立つ」情報を届けるサイト『AUX Magazine』からの転載記事です