国内外で人気を集める「スパークリング日本酒」

シュワシュワした泡の爽快感が楽しめる「スパークリング日本酒」が人気です。「天山」(佐賀県)、「人気一」(福島県)など、様々な蔵元も続々とスパークリング日本酒を発売して人気を博しています。

スパークリング日本酒は、製法により3種類に分けられます。

①「瓶内二次発酵」

瓶内で酵母のアルコール発酵により自然の炭酸ガスが発生。

 

②「活性にごりタイプ」

発酵中のもろみを粗くこして、そのまま瓶詰め。発酵中の炭酸ガスのため、開栓のときは噴き出さないよう注意が必要です。

 

③「炭酸ガス注入」

できあがった日本酒に、専用の装置を使って人工的に炭酸ガスを注入。酒税法上は特定名称酒を名乗れず、普通酒などの表記になります。

スパークリング日本酒は、米の旨味と泡の刺激による重層的な味わいが魅力ですが、味わいのタイプも「フルーティ」「軽快」「旨口」「熟成」と多彩です。種類豊富なスパークリング日本酒は、今やイベントの乾杯酒や一部のフレンチ、イタリアンの食前酒や食中酒としても、一歩一歩、地位を確立し始めています。

“世界に通用する日本酒を”…群馬の酒造がたった1人で研究を始めた

まだスパークリング日本酒を造る蔵が数社しかなかった頃、「世界に通用する日本酒を造りたい」と早い段階で研究を始めたのが、永井酒造(群馬県)です。

最初に蔵元の永井則吉さんが挑戦したのは、にごり酒の中でも「活性にごり酒」※1。3年かけてガス圧、酵母、糖度などのバランスを試行錯誤し、700通りの製法の組み合わせから黄金比を発見して、商品化に至りました。
※1 蔵によって様々で明確な規定はありませんが、酵母による発酵が「うすにごり」よりも活発なため、炭酸ガスのシュワシュワとしたのど越しを一層楽しめる傾向があります。

ただ、シャンパンのような世界標準の存在となるためには、お酒が白く濁っていては泡が見えないため、透明である必要があります。そこで2003(平成15)年から「瓶内二次発酵」「純米酒」「シャンパンと同等のガス圧」にもこだわり、今や永井酒造のフラッグシップとなる「水芭蕉PURE」の開発をスタート。

前例のないたった1人での挑戦は、3年間で500回もの失敗を繰り返し、暗闇をさまようかのような日々でした。