お酒好きにとって、永遠の敵とも言える「二日酔い」や「悪酔い」。たくさんお酒を飲んでも、翌朝の体調に響くことなくお酒を楽しむために、知っておきたい事前の対策と、二日酔いになってしまったあとにできる効果的な対処法を伝授します。葉石かおり氏・監修、近藤淳子氏・著『人生を豊かにしたい人のための日本酒』(マイナビ出版)より、詳しく見ていきましょう。
お酒好き必見!知っておきたい「二日酔い対策」
飲み過ぎて二日酔いにならないためには、どんなことに気を付けていけばいいのか説明します。
最も避けたいのはチャンポン。チャンポンとは、ハイボールで乾杯し、日本酒、ワイン、ウイスキーなど数種のお酒を同日のうちに飲むこと。チャンポンをしてしまうと、自分が飲んだアルコールの総量がわからなくなり、酔いやすくなります。お酒が進むと、ついいろいろな種類のお酒を飲みたくなりますが、二日酔い防止のためには避けたほうが無難です。
例えば、体重50キログラムの人が、1時間に処理できる純アルコール量は5グラムと言われています。体重50キログラムの人が、日本酒を1合(純アルコール量約20グラム)飲んだら、そのアルコールを処理するのに約4時間かかるということです。アルコール処理能力には個人差がありますので、あくまで目安の時間です。
たった1合で4時間もかかってしまうのか、それとも4時間しかかからないのか、それぞれ受け止め方は違うとは思いますが、明らかな事実なのです。それを踏まえたうえで、飲酒量を考えると良いでしょう。
そして、「空腹で飲酒しない」ことも大切です。アルコールを飲んで胃で吸収されるのはたったの5パーセント。残りの95パーセントは小腸で吸収されます。そのため、アルコールが小腸に送られると一気に体内に吸収されます。小腸の内壁には「絨毛」と呼ばれる突起物があり、それらを含む小腸の面積は、テニスコート1面分に匹敵すると言われています。
胃よりも小腸での吸収が早い理由は、その大きさが関係しているのです。空腹で飲酒をすると、胃にアルコールが留まる時間が短くすぐ小腸へ送られてしまうため、血中アルコール濃度(飲酒し、消化管から吸収されたアルコールが、血液中に移行した状態の濃度を指す)が一気にアップ。これにより、二日酔いや悪酔いが誘発されます。
つらい二日酔いや悪酔いを予防するには「オイルファースト」を心がけると良いでしょう。オイルファーストとは、飲む前にオイル(油分)を使った料理を食べることです。オイルは、血中アルコール濃度の急激な上昇を緩やかにする効果があります。また、オイルは胃での滞留時間が長いので、アルコールが体内で吸収されるスピードが遅くなり、悪酔いを防ぐことが可能です。例えば、唐揚げ、魚介のアヒージョ、オイルサーディンなどを飲む前に食べることをおすすめします。
「肝臓でアルコールの代謝を助けるもの」を食べるのも良いでしょう。例えば、タコ、イカに含まれるタウリン、ひまわりの種や大豆に含まれるL-システイン、ごまに含まれるセサミンです。恐ろしいことに、一度上がってしまった血中アルコール濃度をすぐに下げる方法はありません。しかし、アルコールを肝臓で代謝するのを助ける成分を意識して摂取することはできます。