日本酒はボトルの表と裏に貼ってある「ラベル」に、たくさんの情報が書かれています。データの見方がわかれば、味わいが頭の中で想像でき、自分好みの日本酒銘柄を見つけるのに、きっと役立つことでしょう。葉石かおり氏監修、近藤淳子氏著、『人生を豊かにしたい人のための日本酒』(マイナビ出版)より、日本酒の種類とラベルの見方について解説します。
押さえておきたい日本酒の「ラベル」の読み方
世の中に数多ある日本酒。より自分好みの日本酒をどのように見つけていけば良いでしょうか。多種多様な日本酒を飲んだり、蔵めぐりをしたりするのも実践的で素晴らしいことです。さらに日本酒を見る目を養うために、まずはラベルに書かれている情報を押さえておきましょう。
ラベルとは、お酒自身のプロフィールや性格を表したもので、表と裏があります。表ラベルには銘柄や特定名称([図表1]参照)が記載されています。つまり、表ラベルは日本酒の顔といえます。
銘柄は蔵によって、全国向けに発売されている銘柄と、地元だけで流通している銘柄があります。例えば、富山県・富美菊(ふみぎく)酒造の「羽根屋」は全国向けに発売されていますが、「富美菊」は地元限定の銘柄です。以前、東京駅構内の富山の食フェアで、「富美菊」が展示販売されていました。全国版「羽根屋」は大人気銘柄ですが、「富美菊」は富山に足を運ばないと手に入らないというレア感もあり、すぐに完売になったようです。
日本酒の「特定名称酒」とは?
大吟醸酒や純米酒といった特定名称は、国税庁が定めた日本酒の8種類の名称です。醸造アルコールの添加や原材料の精米歩合などによって分類されています。かつては、日本酒級別制度(1940~1992年)により、「特級、一級、二級、三級、四級、五級」と分類されていた時代もありました。
特定名称酒制度が始まったのは、1990(平成2)年のことです。特定名称は8種類もあり、混同しやすいのではないでしょうか。ここで、私の特定名称の覚え方を、3つのポイントでご紹介します。
②純米吟醸酒、吟醸酒など「吟醸」と「特別」は、精米歩合60パーセント以下
③大吟醸酒、純米大吟醸酒など「大吟醸」とつくものは精米歩合50パーセント以下
今こそ、特定名称について、それぞれの違いを明確にして頭をスッキリさせましょう。
ちなみに、貴醸酒(仕込み水の代わりに日本酒で仕込む)、等外米(等級付けされなかったお米)を使用した日本酒は、特定名称を名乗れず、普通酒として扱われます。
また、表ラベルはその銘柄の書体や色、デザインなどが見た目を大きく左右します。山形県・高木酒造の蔵元杜氏、高木顕統(あきつな)さんは「十四代」が無名のころ、酒屋の冷蔵庫の中でも埋もれずに見つけてもらえるよう、どの蔵もやっていなかった「十四代」の文字そのものを煌びやかなカラーデザインにしたのは、日本酒通であればご存じの方も多いはず。人と人の出会いと同じで、日本酒もまたファーストインプレッションが大切です。