「グラスの口径」が味の印象を決定する

次に、「グラスの口径による日本酒の味わいの違い」についてご紹介します。

ここではワイングラスを例に、口径のすぼまりが緩やかなグラスと、口径のすぼまりが強いグラスで比較してみます。

すぼまりが緩やかなグラスで口に含むと、顔をあまり上げないで良いので、舌の面積の中心に日本酒が乗って、四方にゆっくりと広がります。

そうすると、一口の量がすぼまりの強いグラスよりも多くなるため、ボリュームも旨味もアップして感じられ、主に旨口タイプに向いています。

口径のすぼまりが強いグラスでは、日本酒は舌先から直線的に奥へ素早く流れます。顔を上にしっかり上げないと飲めないので、少なめにしか口に入らず、舌の両側に落ちにくくなります。

これにより、アルコール感をダウンさせて、スッキリ、軽やかに感じられるので、日本酒慣れしていないビギナーにもおすすめです。主に向いているのは軽快タイプとフルーティタイプです。

日本酒をあれこれと吟味するように、酒器にもこだわりをもってみると、より味わい深い体験ができるはずです。

近藤 淳子
一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーション
副理事長、フリーアナウンサー

葉石 かおり
一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーション
理事長 酒ジャーナリスト、エッセイスト