日本酒と一言でいっても「旨口」「フルーティー」など、味の系統は様々です。そんな日本酒を美味しく味わうには、「日本酒の種類と相性の合う酒器を選ぶことが大切」と、日本酒エキスパートの近藤淳子氏は言います。葉石かおり氏・監修、近藤淳子氏・著『人生を豊かにしたい人のための日本酒』(マイナビ出版)より、日本酒を飲むときの「酒器」や「グラス」の選び方について見ていきましょう。
「グラスの口径」が味の印象を決定する
次に、「グラスの口径による日本酒の味わいの違い」についてご紹介します。
ここではワイングラスを例に、口径のすぼまりが緩やかなグラスと、口径のすぼまりが強いグラスで比較してみます。
すぼまりが緩やかなグラスで口に含むと、顔をあまり上げないで良いので、舌の面積の中心に日本酒が乗って、四方にゆっくりと広がります。
そうすると、一口の量がすぼまりの強いグラスよりも多くなるため、ボリュームも旨味もアップして感じられ、主に旨口タイプに向いています。
口径のすぼまりが強いグラスでは、日本酒は舌先から直線的に奥へ素早く流れます。顔を上にしっかり上げないと飲めないので、少なめにしか口に入らず、舌の両側に落ちにくくなります。
これにより、アルコール感をダウンさせて、スッキリ、軽やかに感じられるので、日本酒慣れしていないビギナーにもおすすめです。主に向いているのは軽快タイプとフルーティタイプです。
日本酒をあれこれと吟味するように、酒器にもこだわりをもってみると、より味わい深い体験ができるはずです。
近藤 淳子
一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーション
副理事長、フリーアナウンサー
葉石 かおり
一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーション
理事長 酒ジャーナリスト、エッセイスト