日本酒と一言でいっても「旨口」「フルーティー」など、味の系統は様々です。そんな日本酒を美味しく味わうには、「日本酒の種類と相性の合う酒器を選ぶことが大切」と、日本酒エキスパートの近藤淳子氏は言います。葉石かおり氏・監修、近藤淳子氏・著『人生を豊かにしたい人のための日本酒』(マイナビ出版)より、日本酒を飲むときの「酒器」や「グラス」の選び方について見ていきましょう。
日本酒の魅力が際立つ「酒器」の選び方
今、様々な酒器が出ています。日本酒の個性を一層深く味わうために、「日本酒と酒器の関係」を学びましょう。
まず、酒器の素材と日本酒の相性についてお話しします。酒器の素材は主に①ガラス製、②陶磁器、③木製、④錫などが挙げられます。
①「ガラス製」は、ワイングラス、ショットグラス、極薄の冷酒グラスなど様々な大きさや形、厚さのグラスがあります。冷蔵室(約2~5℃)でよく冷やした状態から常温、お燗酒(耐熱ガラスに限る)にも対応できます。極薄ガラスは、きめの細かい吟醸酒タイプのきれいな酒質をより上品に味わえる傾向があります。厚みのあるガラスは、米の旨味にあふれるしっかりとした味わいの純米酒タイプに向いているといえるでしょう。
②「陶磁器」は、冷たい日本酒は冷たいままに、温かい日本酒は温かいままに楽しめます。日本酒を口に含むとき、唇が陶磁器に触れる感触がツルンと滑らかで、快適な飲み心地を感じることができます。全国には様々な焼き物があるので、好みのものを探したり、焼き物の地元の日本酒と合わせてみたりしてはいかがでしょうか?
③ヒノキやスギなど「木製」の酒器は、軽くて保温性があります。ヒノキやスギなどの自然のアロマが日本酒に溶け込んで、酒質に馴染んでいくタイプもあります。日本酒を味わいつつ、ゆったりとリラックス効果も感じられるでしょう。温度帯は、冷酒からお燗まで幅広く楽しむことができます。
④「錫」は最も保温性に優れています。注いだお酒の雑味を取り、まろやかな口当たりに。錫には抗菌性があり、金属臭もあまりないので、日本酒の風味をそのまま楽しめます。また、割れたりさびたりすることもないので、長く愛用できます。
このように酒器の素材一つ取ってみても、日本酒の味わい方が個性豊かに広がるのです。