100歳以上の高齢者が人口10万人あたりに占める割合が全国平均の3倍とされている京都府の京丹後市。大腸がんも少ないという京丹後市の高齢者の元気な秘密について、長年腸内細菌を研究し続けている医学博士の内藤裕二氏が、著書『70歳からの腸活』(エクスナレッジ)より解説します。
生活が不便なほうが腸は健康になる?
私たちは多くの高齢者を目の前にすると、介護のシステムを整えなければならない、病気になったときのために病院を建てなければならない、といったことを考えてしまいます。
でも京丹後市には少し前まで総合病院はありませんでした。それでも別にこの地域の高齢者は困ってはいなかったのです。
現代人は高齢者に対して、彼らが望んでもいないのに、余計な世話を焼きすぎているような気がします。
総合病院だけでなく、京丹後市にはつい最近までコンビニエンスストア(以下、コンビニ)もありませんでした。
現代のわれわれから見ると非常に不便な生活を強いられているように感じますが、そういう環境だったからこそ、自分のことは自分でするという生活習慣が生まれたのだと思います。
実は私たちは京丹後市の高齢者だけでなく、その子どもたちの世代や孫の世代の腸内細菌も調べています。孫の世代になると、彼らのおじいさん、おばあさんとは食事もライフスタイルもだいぶ違ってきています。孫の世代はコンビニのお弁当やファストフードも食べていると思いますが、腸内フローラも高齢者とは異なっていています。
こうしてみると、日本人の腸内フローラはだんだん悪いほうに向いているのだろうと思います。だからこそ、京丹後の高齢者から、再び日本人らしい健康的な腸内フローラを復活させる方法を学んでいきたいと思うのです。
京都府立医科大学大学院医学研究科
教授/医学博士