フリーランス向きの人、向かない人

フリーランスは仕事のすべてについて自らハンドルを握ります。

どんな仕事をするか、誰と組むか、何時から何時まで働くか、そのすべてを自分で決めます。その代わり結果についてはすべて責任を負います。その「自由と責任」をうれしく感じる人間と、逆にストレスを感じる人間がいます。

サラリーマンのなかには「自由がストレスになる」ということを信じられない方がいるかもしれません。しかしこれは紛れもない事実です。

ストレスの感じ方は人それぞれです。コロナ禍の在宅勤務ひとつとっても「出社することがストレス」な人と「出社しないことがストレス」な人がいました。

ここで注目したいのが「管理されるストレス/されないストレス」です。これは知人の精神科医から聞いた話です。世界経済が大混乱に陥ったリーマンショックの際、ストレスで鬱状態に陥るビジネスマンが急増しました。ここで「ストレスの感じ方」には大きな個人差があったそうです。アメリカ人エリートに目立ったのが、リーマンショックで本社管理が強まり「やりたいようにできない」ことにストレスを感じる人。自由にやりたい人にとって、管理されることはストレスです。

一方の日本では混乱のなかで「自分で決めろ」といわれてストレスを感じるビジネスマンが多かったそうです。こちらは「自分で決めねばならない」ことがストレスだったわけです。皆さんはどちらにストレスを感じるでしょうか? 「管理されるとストレスを感じる」人であればフリーランス向きです。

50代で早期退職した方でコンビニ、飲食、塾などのフランチャイズ・オーナーに挑戦する方がいます。結果として成功する場合と失敗する場合があります。その結果はさておき、独立開業やフリーランスに向かないのは「失敗を誰かのせいにする人」です。失敗した人のなかには「本部が何もしてくれなかった」と愚痴る人がいます。このように「失敗を誰かのせいにする」人は、そもそも独立開業に向いていません。

フリーランスはすべての結果を自分で引き受けねばなりません。それはフランチャイズオーナーであっても同様です。

「成功も失敗もすべて自分のせい」──それを「望ましい」、あるいは「やってみたい」と感じる人はフリーランスの資質があるでしょう。

田中 靖浩
作家/公認会計士