ビジネスの場で「上が納得しない」が“効果的”なワケ

大組織で自己評価高めの男性がよく口にするフレーズに「君は組織というものをわかってない」というものがあります。私がこれまで経験した仕事トラブルにおいて、何人もの相手がこのセリフを口にしました。

そんな「組織というもの」を大切にする人は「上司が納得しない」という言い訳を多用します。私はあなたの言い分を理解するが、今のままでは上司が納得しない。だからあなたが折れてくれ、と、そんな内容です。

私からすればまったく理解不能な説得です。その上司はあなたの上司であって私の上司ではない。よって私はその上司の言うことを聞く必要はない。そう考えるわけです。

しかし「上が納得しない」──これはビジネス界においてとても使い勝手のいいフレーズです。なぜならこれで相手が折れてくれることが多いからです。

私は「知るか」と突っぱねますが、そんな人間はフリーランスでもごく少数。日本人はこれを飲んでしまう人が多いです。とくに年配の男性はこの泣き落としに弱い。無意識のうちに「軍隊的組織である会社」の指揮命令系統と、そこにおける兵士の苦労をわかっているのでしょう。

「上が納得しない」論法に納得できないフリーランスの“秘策”は…

「上が納得しない」に効果があることは認めつつ、フリーランスを目指す方はこれを使わないほうがいいでしょう。フリーランスになったら「上」がいないわけですから、サラリーマンのうちから自力で説得することを心がけましょう。

また、いつも組織人の「上が納得しない」にやられて納得できないフリーランスには、この場でこっそり秘密の技を伝授します。自分も組織相手の交渉の際、「上が納得しない」を使ってください。

本当は自分しかいなくても、「その報酬金額では経理マネージャーが納得しません。私が叱責されるので少々値上げをお願いできますか?」と伝えるのです。

え、ずるいって? いえいえ、そんなことはありません。相手に合わせるだけです。