年齢を重ねるにつれて衰えていくと思われている記憶力ですが、大人になっても記憶力は衰えることはありません。変わるのは、記憶するための脳のシステムだと加藤俊徳氏はいいます。いったいどういうことか、詳しく見ていきましょう。著書『一生頭がよくなり続ける すごい脳の使い方』(サンマーク出版)より、 加藤俊徳氏が解説します。
大人と子ども脳の働き方の違い
これが大人になると、子どもの頃より思考系や理解系が発達しているので、「忖度? それってどういう意味だろう?」と、記憶するよりも前に疑問が湧いてきて、意味を理解してから記憶するという「意味記憶」が優勢となります。
大人の場合、単純に「記憶しよう」と思っても、悲しいことに記憶系脳番地は思ったように働いてくれません。
「忖度という言葉があるんだ。そうか、僕も上司に忖度して意見を呑み込むことがあるな」と自分だったらどう使えるか理解してはじめて、記憶できるという仕組みになっています。
つまり、何かを覚えたいときは、「覚えよう」と思うより「理解しよう」と頭を働かせるのが正解。
脳番地で言えば、理解系脳番地を働かせることがポイントです。
学生時代の脳には体力がありました。
大人は学生時代に比べて体力では劣ります。
でも、前述したように、高校野球でいちばん球速が出るわけでもなく、プロになってから新記録を生み出せるもの。
大人には大人なりの脳の使い方があり、それができれば学生時代よりも記憶力を高められるのです。
この脳のメカニズムを無視して、ひたすら丸暗記をしようと思ってもうまくいかないのは当然で、記憶力が落ちたように感じてしまうのは必然なのです。
加藤 俊徳
加藤プラチナクリニック院長/株式会社脳の学校代表
脳内科医/医学博士