年齢を重ねると、骨や筋肉が衰えることにより、骨折などの大けがにつながるリスクが高まります。こうしたなか、『総合診療科の僕が患者さんから教わった70歳からの老いない生き方』(KADOKAWA)著者である医師の舛森悠氏は、手軽に「カルシウム」と「タンパク質」の両方がとれる“ある食べ物”をすすめます。その食べ物とはいったい何なのか、また具体的にどの程度食べるといいのか、みていきましょう。
骨を強くするためにおすすめの食材
年齢を重ねると骨の密度が低下してスカスカになっていきます。
それと同時に、筋力も少しずつ衰えてくるので、転倒のリスクが高まります。骨がもろくなった状態で転倒してしまうと骨折しやすく、特に足の付け根を骨折してしまうと、その後の人生に大きく影響します。
骨を丈夫にするために大切になってくるのは、やはり食事でしょう。厚生労働省は、骨を強くするために、カルシウムの摂取を推奨しています。そしてカルシウムの吸収を促進するビタミンDの摂取も勧められています。
僕もビタミンDのサプリメントを、ビタミンDが不足している患者さんに勧めることがあります。しかしカルシウムに関しては、サプリメントよりも食事で摂取するほうがいいと考えています。実際、食事でとるほうが安全だとの論文もあります。
カルシウムは、牛乳、乳製品、ほうれん草などの緑黄色野菜、サバやイワシなどの魚、大豆や黒豆などの豆類に豊富に含まれています。なかでも僕が注目しているのが「ヨーグルト」です。というのも、外来でいろんな患者さんと接していて、骨が健康な患者さんの多くが摂取しているカルシウム源がヨーグルトなのです。
ヨーグルトは冷蔵庫で保存しやすく、手軽に食べることができます。また、軟らかくて食べやすいため、食べる人の年齢を選びません。そのうえ、ヨーグルトのカルシウムは量が多いだけでなく、体内で吸収されやすいという特徴があります。
成人女性では、1日600〜650mgのカルシウムの摂取が勧められています。ヨーグルト1カップ(100g)にカルシウムは約150mg含まれていますから、1日2カップのヨーグルトを食べれば、それだけで1日に必要なカルシウムの約半分を摂取できます。