60代になって定年退職し、子どもも大きくなったら、これからは「自分のため」の時間です。そこで、“ヨボヨボ”になってもいいから1日でも長生きするか、それとも多少寿命が短くなってもいいから、元気で見た目が若い人生を楽しむのか……あなたはどちらを選びますか? 今回、後者を望む人にとって「一番大事なこと」を、『60代からの見た目の壁』(株式会社エクスナレッジ)の著者で医師の和田秀樹氏が解説します。
60代からどう生きるか…“ヨボヨボ老人”にならないため「一番大事なこと」とは【東大医学部卒の医師が解説】
「見た目をよくするため」の意欲を失わない
一番大事なことは、「若くありたい」という意欲を捨てないこと。意欲をつかさどる脳の前頭葉は、40代くらいから少しずつ萎縮していきます。意欲は外見にもっとも影響を与えるので、意欲を失わないような生活を心がける必要があるというわけです。
そして、前頭葉の老化を防いで、意欲が低下しないようにするには、見た目をよくすることが大事です。あるいは、恋愛する(したい気持ち)を抑えないことであり、もっと言えば、性的なものに関心を持つことを自分に禁じないことです。
そういうふうに生きていきたいと思っていても、「整形美人」とか「ズラ」といった言葉があるように、この国では人工的に手を加えて美しく見せるとか、若く見せることが、悪いことのように語られます。
最近、見た目を理由に差別的な扱いをすることを「ルッキズム」といって、批判の対象になっていましたが、私は人の顔を「整形」呼ばわりしたり、カツラをした人を「ズラ」と呼ぶほうがよっぽどルッキズムだと思います。
それでは、生まれたときにすべてが決定されてしまいます。後で手を加えることが許されないというのでは、生まれつきの要素があまりにも大きすぎます。
生まれついてのコンプレックスを解消しようと思って、見た目をよくすることが許されないのであれば、人は何のために生きていけばよいのかわかりません。
そんなことをいう人のことは気にしてはいけません。「陰でそんなことをいっているから、あんたたちは老けて見えるんだ」と思っていればよいのです。
和田 秀樹
医師