健康にこだわりすぎた結果、血圧や血糖値、コレステロールの数値は優等生でも、実年齢以上に“見た目が老けている人”も少なくありません。そんななか、『60代からの見た目の壁』(株式会社エクスナレッジ)の著者で医師の和田秀樹氏は「65歳を過ぎたら“健康至上主義”は捨てるべき」と断言します。いったいなぜなのか、詳しくみていきましょう。
老けたくないなら「肉」を食え!?…東大医学部卒の医師が「健康至上主義は老ける」と断言するワケ
たんぱく質が不足するとうつになりやすい
見た目年齢が若い人は、血圧やコレステロールがやや高めといいましたが、逆に、うつ気分が続いている高齢者の数値は正常だったりします。この理由にも、たんぱく質不足が関わっています。
人間の精神状態を安定的に保つために必要なのが、セロトニンという脳神経伝達物質です。セロトニンは一般に「幸せホルモン」と呼ばれているので、知っている人がいるかもしれません。
セロトニンが正常に分泌されていると、意欲が高まる一方、不安が弱まるので、意欲的に毎日を過ごすことができます。
ところがセロトニンの分泌は、年齢とともに少しずつ減少する傾向があります。ですから、本来は年齢が上がるほどセロトニンを増やすための生活習慣を心がけないといけないのに、たんぱく質の足りない食生活はその真逆を行っているのです。
セロトニンはトリプトファンというアミノ酸を材料としてつくられます。たんぱく質は、何種類ものアミノ酸によって構成されていて、体内で分解されて、体をつくる材料になるのですが、その1つがトリプトファン。そしてトリプトファンは、肉や魚、乳製品や豆などのたんぱく質に含まれています。
つまり肉などからたんぱく質をしっかり食べる食生活にすれば、セロトニンがたくさんつくられるようになるので、うつな気分も吹っ飛び、意欲的な生活が送れるようになるというわけです。
たんぱく質が足りないと、シワなどのリアルな見た目も老けると同時に、意欲が低下して、うつな気分になるので、表情も老けて見えるようになると思います。