AIを用いた資産運用サービスが注目を集めていますが、あらゆる情報を取り込み分析するAIに人間が勝つことは可能なのでしょうか。本記事では、株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏が、株式投資において守るべき「3つのルール」から、人間がAIに勝る点について解説します。
「AI」に「人間」は敵わないのか?…勝つ投資をするために心がけるべき「3つのルール」【株式投資のプロが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

人間が運用するよりAI投資のほうが優秀なのか?

AIを用いた資産運用サービスが多数誕生し、注目を集めています。インターネットなどから幅広い情報を集めて判断するAIに、我々人間が勝つことはできないのでしょうか。ここから解説する「株式投資で守るべき3つのルール」を通して、その答えを探してみましょう。

 

売買のルールを作る

まず、「売買のルール」を作ることが大切です。

 

ルールとは、「PERが15倍を切ったら買う」「PBRが1倍を切ったら買う」「配当利回りが3%を超えたら買う」「購入時株価よりも株価が10%上がったら売る」「購入時株価より株価が5%下がったら売る」「PERが20倍を超えたら売る」「PBRが1.5倍を超えたら売る」「配当利回りが2%を切ったら売る」「権利付き最終日を過ぎて配当金分以上下がらなかったら売る」「最低3年は売らない」といったものです。

 

株式投資には無数の売買方法がありますが、自分なりのルールを何も持たずに売買することは、地図もコンパスも持たずに航海に出るぐらい、危険なことではないでしょうか。

 

AIが注目されていますが、その正体はコンピュータプログラムにすぎません。インターネットの普及で膨大な情報を集めることができるようになったため、その情報を収集し、それにもとづいてあたかも自らが学習しているように見えるのが、今のAIです。

 

しかし、どんな情報をどう収集するか、それを使ってどうアウトプットを変化させていくかは、一定のアルゴリズムに従っています。資産運用AIにもやはり売買のルールが存在し、その元となっているのは、人間が考えたプログラムなのです。

 

つまり、この「売買のルールを作る」という点は、AIにおいても結局は人間がおこなっているといえます。そしてそうであるならば、ここに人間投資家の勝機があります。AIを作る技術者たちよりもよい売買ルールを作ることができれば、十分にAIに勝てるでしょう。

機械的に売買する

次に、そのルールにもとづいて機械的に売買することが重要です。

 

人間には感情がありますので、ルールがあるにもかかわらず、我慢できずにルール以上の高値で買ってしまったり、買った株がルール以上に値上がりしたのに欲が出て持ち続けたり、買った株が値下がりして不安になりルールを破って売ってしまったり、ということが起きがちです。

 

しかし、ルールを無視するならば、それは何の指針もなしに行き当たりばったりで売買するのと同じことですから、長期的に勝つことはできなくなってしまうでしょう。

 

したがって、感情を制御し、定めたルール通りの売買ができるか否かが、人間投資家がAIに勝つ重要なポイントとなります。定めたルールに従って売買をするのは、AIの得意分野です。AIに感情はありませんので、ルール通りの売買を遂行するでしょう。しかし逆にいえば、この点で人間がミスをしなければ、勝機は十分にあるといえるのです