年金をもらって悠々自適な暮らし。日本の高齢者のすべてが、そんな老後を送っているとは限りません。なかには多額の借金を抱えて、「自己破産しか方法はない」というケースも。そんな場合に知っておきたい、「まとまったお金」を得られる意外な方法も。みていきましょう。
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70代で借金1,000万円、返済の目途がたたず…自己破産しか方法はない?

72歳で1,000万円の借金。返済の目途をたてられず。

 

――だめだ、もう自己破産するしかない

 

自己破産をしたら、原則、借金の支払義務は法的になくなり、債権者へ返済する必要はありません。ただその前に、本当に借金が返せないのか、まとまったお金を得る方法がないのか、色々と検討したいところ。

 

たとえば、71歳の伯父が、まだ年金をもらわず、働いていたとしましょう。年金は原則65歳で受給権が発生しますが、希望により、年金をもらう時期を繰り下げることができます。繰り下げることができるのは75歳までで、年金の受給を1ヵ月遅らせるごとに「0.7%」ずつ受給額が増えていくというメリットがあります。

 

そして繰下げ待機をしている場合、過去5年間をさかのぼって本来受け取るはずだった年金額を一括で受け取ることができます。つまり71歳であれば、66歳まで繰り下げたとみなし、そこから5年分の年金を一括で受給できるのです。

 

仮にこの伯父が、65歳から厚生年金の平均受給額である月14万円を手にするはずだったと仮定しましょう。66歳0ヵ月時点の増額率は「8.4%」。つまり月15.1万円に増額したとみなし、5年分の900万円強を一括で手にできる、ということです。また5年分を一括受給したあとも、増額された年金が一生続きます。

 

さらに厚生年金の保険料は企業に勤めていて加入資格があるなら、原則、70歳到達まで支払います。その分、年金の受給額が増えるので、伯父が60歳以降も厚生年金に加入していれば、年金の一括受給により借金返済の目途がつくかもしれない、というわけです。

 

ただし、気をつけたいのが「税金」。年金ももちろん課税対象。計算上900万円だからといって丸々もらえるわけではありません。また年金を一括受給した場合、過去に行った確定申告の修正申告を出さなければなりません。また数千円の延滞税も発生します。

 

どちらにせよ、年金の制度をうまく利用すれば、自己破産の道は避けられるかもしれません。

 

[参考資料]

日本弁護士会『2020年破産事件及び個人再生事件記録調査』

裁判所『司法統計』

厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』

日本年金機構『令和5年4月から老齢年金の繰下げ制度の一部改正が施行されました』