「収支改善」第1歩は
A先生がまず検討すべきは、毎月の収支改善です。クリニックの支出について見直すべき内容がないかどうかをチェックします。
一般的に、クリニックにおける最も大きな支出は人件費関連といわれています。そこで筆者はA先生に、スタッフの職務内容を確認し、現在の来院患者数に見合ったスタッフ数や勤務形態へ変更することで、支出を抑制できないか検討するよう伝えました。
また、レセプトのチェックをすることで収入が多少改善するケースもあるため、適切に請求ができているかどうかもチェックいただくよう依頼しました。
次に個人の支出については、毎月の支出を逐一チェックするよう伝えました。特に個人口座とクレジットカードの明細を細かく確認し、固定費をはじめ不要不急な支出はできる限りカットするように努めてもらいました。
クリニックと個人の支出を見直したうえで、どれだけ収支が改善するかによりますが、この見直しでも改善しない場合には、最終手段としてクリニックの継続について検討しなければなりません。
支出を見直しても現在と同水準の数百万円程度の損益差額しか確保できないのであれば、クリニックは第三者へ継承し、自身は勤務医として再出発することも選択肢として考えられます。勤務医になれば精神的・時間的な余裕も生まれます。自身に万が一のことがあった場合のことを考えると「早めの承継または閉院」は検討すべき内容になります。
第三者へのクリニック承継または閉院という選択肢は、A先生自身も漠然と考えていたそうですが、第三者から改めてその選択肢を提示されたことで現実を突きつけられ、非常にショックを受けていました。
“最悪の事態”を避けるため「事前にできること」とは
A先生には「クリニックの収支チェック」と「個人の支出チェック」の徹底を約束いただきましたが、最後にA先生から「どうしておけばこんなことにならなったんでしょうね……」と質問を受けました。
そこで私からは、
【1】資産形成や運用・投資は時間を味方につけられるので、開業直後から少しでも資産運用をしておくべきだったこと
【2】低コストで有事に備えられる民間保険をうまく活用していれば、資金負担が抑えられた可能性があったこと
【3】実子がクリニックを継がないと決まった時点で、クリニックの将来について検討し、準備を始めておく必要があったこと
の3点を挙げました。些細なこと・当たり前のことと思うかもしれませんが、実践できている人は、思っている以上に少ないものです。
将来を見越した備えは、早い段階で行うに越したことはありません。特に開業医は事業主として、将来を見据えたリスクマネジメント対策が必須であるといえます。
ただし、多忙な日々のなか自分の力だけで考えることは難しいかもしれません。その場合はコンサルタントをはじめとした専門家に相談することも選択肢になりそうです。
奥田 雅也
株式会社FPイノベーション 代表取締役
NPO法人日本リスクマネジャー&コンサルタント 協会理事
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
注目のセミナー情報
【税金】11月27日(水)開催
~来年の手取り収入を増やす方法~
「富裕層を熟知した税理士」が考案する
2025年に向けて今やるべき『節税』×『資産形成』
【海外不動産】11月27日(水)開催
10年間「年10%」の利回り保証
Wyndham最上位クラス「DOLCE」第一期募集開始!
【事業投資】11月28日(木)開催
故障・老朽化・発電効率低下…放置している太陽光発電所をどうする!?
オムロンの手厚いサポート&最新機種の導入《投資利回り10%》継続を実現!
最後まで取りつくす《残FIT期間》収益最大化計画
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】