年収2,000万円「生涯現役」が口癖だった66歳・開業医の“勝ち組人生”が一転…「老後破産の危機」に陥ったワケ【FPが警告】

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年収2,000万円「生涯現役」が口癖だった66歳・開業医の“勝ち組人生”が一転…「老後破産の危機」に陥ったワケ【FPが警告】
(※画像はイメージです/PIXTA)

開業医の多くは高収入である一方、勤務医や通常の会社員等とは異なり退職金等がありません。また、収入に比例して生活水準も高まりやすいことから、不測の事態で収入が減った場合、生活水準を落とすことができずに「老後破産危機」に陥るリスクもあると、株式会社FPイノベーションの奥田雅也代表取締役はいいます。具体例をもとに詳しくみていきましょう。

「収支改善」第1歩は

A先生がまず検討すべきは、毎月の収支改善です。クリニックの支出について見直すべき内容がないかどうかをチェックします。

 

一般的に、クリニックにおける最も大きな支出は人件費関連といわれています。そこで筆者はA先生に、スタッフの職務内容を確認し、現在の来院患者数に見合ったスタッフ数や勤務形態へ変更することで、支出を抑制できないか検討するよう伝えました。

 

また、レセプトのチェックをすることで収入が多少改善するケースもあるため、適切に請求ができているかどうかもチェックいただくよう依頼しました。

 

次に個人の支出については、毎月の支出を逐一チェックするよう伝えました。特に個人口座とクレジットカードの明細を細かく確認し、固定費をはじめ不要不急な支出はできる限りカットするように努めてもらいました。

 

クリニックと個人の支出を見直したうえで、どれだけ収支が改善するかによりますが、この見直しでも改善しない場合には、最終手段としてクリニックの継続について検討しなければなりません。

 

支出を見直しても現在と同水準の数百万円程度の損益差額しか確保できないのであれば、クリニックは第三者へ継承し、自身は勤務医として再出発することも選択肢として考えられます。勤務医になれば精神的・時間的な余裕も生まれます。自身に万が一のことがあった場合のことを考えると「早めの承継または閉院」は検討すべき内容になります。

 

第三者へのクリニック承継または閉院という選択肢は、A先生自身も漠然と考えていたそうですが、第三者から改めてその選択肢を提示されたことで現実を突きつけられ、非常にショックを受けていました。

“最悪の事態”を避けるため「事前にできること」とは

A先生には「クリニックの収支チェック」と「個人の支出チェック」の徹底を約束いただきましたが、最後にA先生から「どうしておけばこんなことにならなったんでしょうね……」と質問を受けました。

 

そこで私からは、

 

【1】資産形成や運用・投資は時間を味方につけられるので、開業直後から少しでも資産運用をしておくべきだったこと

 

【2】低コストで有事に備えられる民間保険をうまく活用していれば、資金負担が抑えられた可能性があったこと

 

【3】実子がクリニックを継がないと決まった時点で、クリニックの将来について検討し、準備を始めておく必要があったこと

 

の3点を挙げました。些細なこと・当たり前のことと思うかもしれませんが、実践できている人は、思っている以上に少ないものです。

 

将来を見越した備えは、早い段階で行うに越したことはありません。特に開業医は事業主として、将来を見据えたリスクマネジメント対策が必須であるといえます。

 

ただし、多忙な日々のなか自分の力だけで考えることは難しいかもしれません。その場合はコンサルタントをはじめとした専門家に相談することも選択肢になりそうです。

 

 

奥田 雅也

株式会社FPイノベーション 代表取締役

NPO法人日本リスクマネジャー&コンサルタント 協会理事

 

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