日銀は2023年7月28日、金融政策を転換し、長期金利の上限を緩和しました。これは物価上昇を抑制する方向への政策転換であり、日本がこれから本格的なインフレ時代を迎える可能性を示すものです。ただし、インフレには「良いインフレ」と「悪いインフレ」があり、それぞれ資産運用の考え方・方法が異なります。これから到来することが想定されるインフレの性質と、そのなかでの資産運用のあり方について、投資歴20年以上、金融・投資ライターの山下耕太郎氏が解説します。
日銀「方針転換」でインフレ時代の到来間近!?…令和を生きる現役世代に必要な「視点の切り替え」とは? (※画像はイメージです/PIXTA)

スタグフレーション時代の資産運用

(※写真はイメージです/PIXTA)
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日本において、スタグフレーションの懸念がある中、インフレへのリスクヘッジをするためには、株、不動産、ゴールド(金)等への投資が有効です。株は景気低迷時に株価が下がることもありますが、中長期的には物価に連動して上昇する傾向があります。また、不動産やゴールドは物価変動に連動して価値が上昇する傾向があるのです。

 

加えて、国内の景気低迷に備えるためには、外国株や外国債券に投資すると良いでしょう。日米の金利差が拡大しているなか、米国債券に投資することで、利息収入を確保し、景気後退時にもリスクヘッジできます。

 

そして、スタグフレーションの下では、現預金を安全な資産運用として過信するのは危険です。預金金利は現在ほぼゼロで、インフレによる物価高騰の幅の方が大きくなってしまうからです。そのため、預金に預けっぱなしでは、金額が減ることはなくても、円の価値が目減りすることにより、購買力が低下してしまう可能性があります。

 

今後は株価の下落に注意しながらも、リスクを取って資産運用を行うことをおすすめします。スタグフレーションが本格化する前に、インフレ時のリスクヘッジの考え方を持ち、株、不動産、ゴールド等への投資を検討するようにするのです。また、国内の景気低迷にも備え、外国株や外国債券に投資することも有効です。

 

株式投資においては、非課税制度である「NISA」(少額投資非課税制度)を積極的に使うようにしてください。

 

NISAは、株式や投資信託等に投資した場合に、それらから得られる利益(売却して得られる利益や、保有期間中に受け取る配当)が非課税になる制度です。本来20%の税金がかかるところ、非課税になるという税制優遇を受けられるのです。

 

特に、2024年以降、NISAが抜本的に拡充されます。従来はNISA制度自体の期限が設けられており、しかも、非課税で株式や投資信託等保有できる期間(非課税保有期間)も限られていました。しかし、新NISAでは、制度が恒久化され、かつ、非課税保有期間が無期限となります。

 

また、併用可能な「つみたて投資枠」と「成長投資枠」が設けられます。1年間に非課税で投資できる枠(非課税投資枠)が従来よりも拡大され、つみたて投資枠は年間120万円まで、成長投資枠は年間240万円までとなります。

 

非課税投資枠は全体で1,800万円となります(成長投資枠は総額1,200万円まで)。しかも、商品を売却してお金に換えた場合には、その分の枠を再利用することも可能です。

 

このタイミングでの新NISA制度の施行は、税制優遇を拡充させることにより、国民の投資による資産形成を促すものだといえます。インフレ時代においては、資産の多くを銀行預金として保有することは、仮に「元本保証」だとしても、資産の実質的な目減りのリスクを増大させます。ぜひ、「投資」へと目を向けることをおすすめします。

 

 

山下 耕太郎

金融・投資ライター