スタグフレーション時代の資産運用
日本において、スタグフレーションの懸念がある中、インフレへのリスクヘッジをするためには、株、不動産、ゴールド(金)等への投資が有効です。株は景気低迷時に株価が下がることもありますが、中長期的には物価に連動して上昇する傾向があります。また、不動産やゴールドは物価変動に連動して価値が上昇する傾向があるのです。
加えて、国内の景気低迷に備えるためには、外国株や外国債券に投資すると良いでしょう。日米の金利差が拡大しているなか、米国債券に投資することで、利息収入を確保し、景気後退時にもリスクヘッジできます。
そして、スタグフレーションの下では、現預金を安全な資産運用として過信するのは危険です。預金金利は現在ほぼゼロで、インフレによる物価高騰の幅の方が大きくなってしまうからです。そのため、預金に預けっぱなしでは、金額が減ることはなくても、円の価値が目減りすることにより、購買力が低下してしまう可能性があります。
今後は株価の下落に注意しながらも、リスクを取って資産運用を行うことをおすすめします。スタグフレーションが本格化する前に、インフレ時のリスクヘッジの考え方を持ち、株、不動産、ゴールド等への投資を検討するようにするのです。また、国内の景気低迷にも備え、外国株や外国債券に投資することも有効です。
株式投資においては、非課税制度である「NISA」(少額投資非課税制度)を積極的に使うようにしてください。
NISAは、株式や投資信託等に投資した場合に、それらから得られる利益(売却して得られる利益や、保有期間中に受け取る配当)が非課税になる制度です。本来20%の税金がかかるところ、非課税になるという税制優遇を受けられるのです。
特に、2024年以降、NISAが抜本的に拡充されます。従来はNISA制度自体の期限が設けられており、しかも、非課税で株式や投資信託等保有できる期間(非課税保有期間)も限られていました。しかし、新NISAでは、制度が恒久化され、かつ、非課税保有期間が無期限となります。
また、併用可能な「つみたて投資枠」と「成長投資枠」が設けられます。1年間に非課税で投資できる枠(非課税投資枠)が従来よりも拡大され、つみたて投資枠は年間120万円まで、成長投資枠は年間240万円までとなります。
非課税投資枠は全体で1,800万円となります(成長投資枠は総額1,200万円まで)。しかも、商品を売却してお金に換えた場合には、その分の枠を再利用することも可能です。
このタイミングでの新NISA制度の施行は、税制優遇を拡充させることにより、国民の投資による資産形成を促すものだといえます。インフレ時代においては、資産の多くを銀行預金として保有することは、仮に「元本保証」だとしても、資産の実質的な目減りのリスクを増大させます。ぜひ、「投資」へと目を向けることをおすすめします。
山下 耕太郎
金融・投資ライター